2013 Fiscal Year Research-status Report
低酸素応答をターゲットとした新たな心停止後症候群治療法開発への展望
Project/Area Number |
24659705
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
南嶋 しづか 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (20622088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南嶋 洋司 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20593966)
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Keywords | 低酸素応答 / 心肺蘇生 / 虚血再灌流障害 |
Research Abstract |
心停止(CA)/心肺蘇生(CPR)後の予後不良の原因の一つとして全身の虚血再灌流障害が挙げられる。我々は、虚血再灌流障害に有効とされる一酸化窒素(NO)がCA/CPR後の予後を改善することを報告した。Hypoxia inducible factor (HIF)は低酸素応答を司る重要な転写因子であるが、虚血や低酸素環境下におけるNOとHIFとの相互作用に関心が高まっている。我々は、HIFの活性化はCA/CPR後の予後を改善するのではないかとの仮説に基づき、HIFが恒常的に活性化した雄のTamoxifen誘導型プロリン水酸化酵素PHD2ノックアウトマウス(PHD2 cKO)と対照群を用いて、HIFの活性化とCA/CPRの予後との関連を検討した。 体温を37度に維持したマウスに、9分間のCA後に100%酸素による機械換気と手指での胸部圧迫によるCPRを行い、CPR30分後に抜管した。CA/CPR後の生存率、神経学的機能、心機能について評価した。CPR後7日の生存率はPHD2 cKO群で48%、対照群で40%と差はなかった。神経学的機能は以前我々が報告した神経学的機能スコアリングシステムを用いてCPR後7日間評価したが、両群間に差はなかった。また、CPR後24時間の左室機能をマウス用コンダクタンスカテーテルを用いて測定した。両群でCA/CPRによる左室の拡張能低下と収縮能低下を認めたものの、両群間に差はなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
我々の計画ではPHD2 cKO群が対照群に比較してCA/CPR後の生存率、神経学的機能が改善し、そのメカニズムの解明に着手している予定であった。しかし、HIFが恒常的に発現したマウスではCA/CPR後の予後は改善しなかったため、本研究の達成度は遅れていると言わざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
HIFが恒常的に発現したマウスではCA/CPR後の予後は改善しなかったが、これはCA/CPRにおけるHIF活性化の有用性を否定するものではない。CA/CPR後にHIFが活性化されるべき適当な時期については更なる検討が必要と考えられることから、今後はPHD阻害薬などを用いHIFを活性化させる時期を変化させ、その有用性について再検討したい。
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