2014 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖生物学を利用した膀胱癌に対する新規膀胱内注入療法の開発
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24659709
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三塚 浩二 東北大学, 大学病院, 講師 (80568171)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 膀胱癌 / 糖鎖 / 悪性度 / GM3 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成25年度までに主に膀胱癌細胞におけるGM3糖鎖の発現と癌の悪性度との関連や、GM3と同様に膀胱癌細胞の細胞膜に存在するCD9やIntegrinとの関連を検討した。平成26年度はその結果から、膀胱癌細胞膜においてGM3糖鎖とCD9・Integrinが複合体を形成し、癌の運動能や浸潤能獲得と関連することが示唆された。実際にはGM3を多く発現する膀胱癌細胞株であるKK47細胞においてGM3の発現を抑制したり、あるいはsiRNAを用いてCD9の発現を抑制することにより、癌細胞の運動能や浸潤能が亢進することでも確認した。また逆に同様に膀胱癌細胞株であるYTS-1細胞にGM3を付加することにより、GM3がCD9とintegrinと複合体を形成し癌細胞の運動能や浸潤能が抑制されることを確認した。またこの運動能や浸潤能に関連する分子生物学的背景についてwestern-blottingや糖鎖解析法による解析を行い、srcなどの情報伝達物質がこの複合体を介して膀胱癌細胞の悪性度制御に関連している可能性が示された。同様の実験を腎癌や前立腺癌など他癌種の細胞株でも施行してみたが、もともと他癌では糖鎖の種類や発現様式が膀胱癌と大きく異なり、膀胱癌細胞と同様の仕組みを同定することはできなかった。今後の動物実験やGM3糖鎖の皮下投与や膀胱内投与のためのGM3糖鎖の精製や、適切な濃度に関して現在基礎実験を計画中である。
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