2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24659725
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
塩沢 丹里 信州大学, 医学部, 教授 (20235493)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 強 信州大学, 医学部附属病院, 講師 (70418721)
鹿島 大靖 信州大学, 医学部, 助教 (70464089)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ケラタン硫酸 / 女性生殖管 / 異所性子宮内膜 / 子宮内膜癌 / 卵巣癌 / 診断マーカー |
Research Abstract |
ケラタン硫酸は軟骨基質や角膜の重要な構成要素であるグリコサミノグリカンであるが、我々はこれまでに正所性および異所性子宮内膜腺上皮に発現することを見出した。そこでケラタン硫酸の婦人科腫瘍における診断補助マーカーとしての有用性を検討した。患者の同意を得て採取した102例の各種正常組織、110症例の各種悪性腫瘍組織に対してケラタン硫酸免疫染色を行った。正常組織においては正所性女性生殖管上皮(子宮頸部、子宮内膜、卵管、卵巣)および異所性子宮内膜では25/26例でケラタン硫酸陽性であったが、消化器上皮(消化管、すい臓、肝臓)は1/42例、尿路上皮0/6例と発現を認めなかった。一方、肺組織(7/10例)、乳腺組織(3/9例)、甲状腺(4/4例)ではケラタン硫酸発現を認めた。癌組織においては、女性生殖管由来の癌(内膜癌、卵巣癌、卵管癌)では29/32例と高率にケラタン硫酸陽性を示したが、胃癌や大腸癌など消化管由来の癌(0/17例)、肝臓癌(0/5例)、腎尿路系由来(0/11例)ではケラタン硫酸発現を認めなかった。しかし、肺癌や乳癌、甲状腺癌、膵臓癌、悪性中皮腫ではケラタン硫酸陽性であることがあった。また、腹腔内臓器癌である女性生殖管由来の癌、消化器癌、腎尿路系癌に限って考えると、女性生殖管由来の癌の診断に対する、ケラタン硫酸陽性の感度は79.5%(31/39)、特異度は92.9%(39/42)であった。以上から、ケラタン硫酸は腹腔内の癌における原発巣の診断に有用なマーカーであると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでに診断マーカーとしての有用性は十分に検討された。 しかしながら、診断に用いていた信頼性の高い抗ケラタン硫酸抗体が発売終了となり手に入らなくなった。このため、やや研究の進行が遅れている。今後、他の抗体での診断精度を再検討し、研究に用いる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
診断に用いていた信頼性の高い抗ケラタン硫酸抗体が発売終了となり手に入らなくなったため、新たな抗体での診断精度を再検討し、それを以後の研究に用いる。子宮内膜癌もしくは卵巣癌細胞株でのケラタン硫酸発現を確認する。ケラタン硫酸発現細胞株に対し、ケラタン硫酸合成酵素をsiRNA法等で抑制し、細胞機能の変化を確認する。また、ケラタン硫酸のコアタンパクを同定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
抗体、実験キット・試薬、細胞培養関連試薬等の物品の購入に用いる。
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