2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24659725
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
塩沢 丹里 信州大学, 医学部, 教授 (20235493)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 強 信州大学, 医学部附属病院, 講師 (70418721)
鹿島 大靖 信州大学, 医学部, 助教 (70464089)
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Keywords | ケラタン硫酸 / 女性生殖管 / 異所性子宮内膜 / 子宮内膜癌 / 卵巣癌 / 診断マーカー |
Research Abstract |
ケラタン硫酸は軟骨基質等の構成要素であるグリコサミノグリカンであるが、我々はこれまでに、ケラタン硫酸の婦人科腫瘍における新規診断補助マーカーとしての有用性について検討してきた。その結果、抗ケラタン硫酸モノクローナル抗体5D4による免疫染色により、正所性女性生殖管上皮(子宮頸部、子宮内膜、卵管、卵巣)および異所性子宮内膜(96.2%陽性)と、消化器上皮(2.3%陽性)や尿路上皮(0%陽性)とを容易に判別可能であることが示唆された。さらに癌組織においても、女性生殖管由来の癌(子宮内膜癌、卵巣癌、卵管癌)では90.6%と高率にケラタン硫酸陽性を示したが、胃癌や大腸癌など消化管由来の癌0%、肝臓癌0%、腎尿路系由来0%とケラタン硫酸発現を認めず、これらの癌との鑑別に有用なマーカーであると考えられた。一方、肺癌や乳癌、甲状腺癌、膵臓癌、悪性中皮腫ではケラタン硫酸陽性例が存在した。次に転移性肝癌例、原発不明腹膜播種腫瘍例の針生検2例に対しケラタン硫酸免疫染色を行い、前例は陰性であることから結腸癌転移と診断し、後例は陽性であることから原発性腹膜癌と診断した。術後も同様の診断であり、症例数は少ないが新規診断補助マーカーとして今後も検討していく必要があると考えられた。 培養細胞については、これまで子宮内膜癌細胞株であるIshikawa細胞、HHUA細胞でケラタン硫酸発現を確認した。我々は診断補助マーカーとしてだけではなく、ケラタン硫酸発現による子宮内膜癌細胞機能変化の可能性についても検討している。しかしながら、これまでケラタン硫酸分解酵素であるケラタナーゼを添加し、浸潤能(マトリゲル浸潤アッセイ)や遊走能(スクラッチアッセイ)、増殖能(WST-1アッセイ)の検討を行ったが、有意な変化は確認できていない。このため、現時点では婦人科癌におけるケラタン硫酸発現の意義は不明である。
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Research Products
(6 results)