2012 Fiscal Year Research-status Report
卵巣癌細胞株を用いた人工抗原提示細胞による新規腫瘍抗原の同定
Project/Area Number |
24659727
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉川 史隆 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40224985)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 史朗 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (20612758)
柴田 清住 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90335026)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 卵巣癌 / 腫瘍免疫療法 |
Research Abstract |
1) 人工抗原提示細胞(aAPC)作製に関して、HLA-A24陰性の卵巣明細胞腺癌細胞株TOV-21G(HLA-A11, HLA-A26, HLA-B15, HLA-B40)を基にaAPC作製を行った。HLA-classIに共通な塩基配列部位に作用するsiRNA、siRNA抵抗性のHLA-A*24:02を作製した。TOV-21GにsiRNA抵抗性のHLA-A24および共刺激分子であるCD86を、レンチウイルスベクターを用いて導入した後に、合成したsiRNAを導入し、内因性HLAの発現を抑制しHLA-A24のみ発現したaAPCを樹立した。 2) 細胞傷害性T細胞(CTL)誘導およびCTLクローニングに関して、HLA-A24陽性健常人の末梢血単核球から分離したナイーブCD8陽性T細胞を上記のaAPC で2回刺激して共培養し CTL linesを誘導した。aAPCに対する特異性をIFN-γ catch assay で確認し、その後限界希釈法でクローニングを行い、複数のCTLクローンを樹立することができた。 3) 樹立されたCTLクローンの認識パターンおよび細胞傷害性の検証については、樹立されたCTLクローンのaAPCに対するHLA-A24拘束性(Negative controlとしてHLA-A24陰性の親株TOV-21Gを含めた細胞株)および卵巣がん細胞株特異性(Negative controlとしてHLA-A24陽性の線維芽細胞などの正常細胞)をIFN-γ ELISPOT assayにて確認した。細胞傷害性試験(51Cr release assay)でaAPCおよび他の卵巣明細胞腺癌を含めた癌細胞株への反応性を確認し、複数の卵巣明細胞癌細胞株を認識するが、正常細胞を傷害しないがん細胞株に特異的なCTLクローンを選別した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度での研究目標であった、1)人工抗原提示細胞作製および2)CTL誘導およびCTLクローニングについて、当初の計画どおりにHLA-A24陰性の卵巣明細胞腺癌細胞株を基に内因性HLAの発現を抑制しHLA-A24のみ発現した人工抗原提示細胞を樹立した後に、この細胞とHLA-A*24:02を保有する健常人のCD8陽性Tリンパ球を共培養することで、CTLを誘導することができた。さらに限界希釈法を用いたクローニングを行い、aAPCに対する特異性を確認できている複数のCTLクローンを樹立できた。 T 細胞によって認識されるヒト腫瘍抗原の同定法として、癌細胞に特異的に反応するT 細胞株(クローン)を利用した、癌細胞由来のcDNA ライブラリーのスクリーニング方法を用いる場合、従来法ではアロ反応を避けるために担癌患者の自己リンパ球を自己癌細胞で刺激する必要性が生じていたが、これまでの研究結果から本研究方法によって複数のCTLクローンが樹立できたことから、この問題点については改良できたと考えられる。 さらに樹立されたCTLクローンの認識パターンおよび細胞傷害性の検証も済んでいるため、次年度以降のcDNAライブラリーによる抗原遺伝子の同定、それに続くCTLが認識している抗原遺伝子のエピトープ同定へとスムーズに進んでいくことが可能であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
人工抗原提示細胞に用いた卵巣明細胞腺癌細胞株(TOV-21G)のmRNAからcDNAライブラリーを作製して、腫瘍抗原の同定を試みる。複数の卵巣明細胞腺癌細胞株(内因性にHLA-A24を発現しているRMG-IやRMG-II、HLA-A24を強制発現させたKOC-7C.A24など)に細胞傷害性を示すクローンが得られているため、まずそれらのCTLクローンが認識する遺伝子を、cDNA発現クローニング法にて同定する。 続いて同定された遺伝子・腫瘍抗原の中に卵巣明細胞腺癌が共通して発現している特異的な新規抗原があるかどうかについて解析を行う。新規抗原候補が得られた場合は、卵巣明細胞腺癌におけるmRNAレベルおよびタンパク質レベルでの発現量および発現頻度を評価する。 さらに、同定された遺伝子のN末およびC末それぞれを短縮したプラスミッドを作製し、CTLが認識している場所を検索する。ミニジーンや合成ペプチドを用いて、CTLが認識する最小のアミノ酸配列を決定し、CTLクローンが認識する腫瘍抗原ペプチドのエピトープ配列同定へと研究を進める。 HLA-A24陽性の健常人および卵巣明細胞腺癌患者の末梢血リンパ球を同定されたペプチドで刺激することにより、腫瘍抗原特異的CTLを誘導することができるか否かを検討する。 また、同定されたペプチドを含有するHLA-A24テトラマーを作製する。同定したエピトープの免疫治療への応用の可能性についての評価として、同定したエピトープに対するCTLが患者体内において活性化されているか否かを検討する。この目的で、患者の末梢血リンパ球、手術で得られた腫瘍組織および腹水中に含まれるTリンパ球を用いて検討を行う。すなわち、同定したエピトープに特異的なCTLが存在するか否かを、テトラマー法などを用いて検討する。臨床検体の採取は、名古屋大学医学部倫理委員会の審査承認後に開始することとする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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[Journal Article] ALX1 induces snail expression to promote epithelial-to-mesenchymal transition and invasion of ovarian cancer cells.2013
Author(s)
Yuan H, Kajiyama H, Ito S, Yoshikawa N, Hyodo T, Asano E, Hasegawa H, Maeda M, Shibata K, Hamaguchi M, Kikkawa F, Senga T.
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Journal Title
Cancer Research
Volume: 1;73(5)
Pages: 1581-1590
DOI
Peer Reviewed
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