2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24659743
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小林 俊光 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80133958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 猛史 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40241608)
野村 和弘 東北大学, 大学病院, 助教 (60466563)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 内耳保護 / 人工内耳 / 内耳電 / モルモット |
Research Abstract |
人工内耳埋め込みにおいては適応が拡大され、聾耳だけでなく聴力がある程度残存している耳にも行われるようになり、従来以上に内耳操作の慎重さ(ソフト・サージェリー)が求められ、同時に蝸牛操作の限界に対する知識が必要とされる。本年は人工内耳疑似電極挿入に対する蝸牛機能の変化について検討を行った。人工内耳挿入術において、ABR等による亜急性期から慢性期にかけての聴力評価は過去にみられるが、急性期における蝸牛機能の変化を検討したものはなく、今回は蝸牛機能への急性期における侵襲を検討した。実験動物としてはハートレーモルモットを用いた。コントロールとして鼓室階に蝸牛開窓のみをした群、鼓室階への蝸牛開窓後に蝸牛リンパ腔を吸引した群、鼓室階への蝸牛開窓後に吸引をせずに人工内耳疑似電極を蝸牛の回転に沿って低侵襲に挿入した群、蝸牛開窓後に吸引をせずに人工内耳疑似電極を基底板・蝸牛軸方向に向かって挿入した群とを比較し、内耳機能を検討した。内耳機能の評価には内リンパ電位(EP)を用いた。また組織学的な検討を加えた。人工内耳疑似電極を基底板・蝸牛軸方向に向かって挿入した群では、組織学的に明らかな基底版への損傷はみられないものの、コントロール群と比べ有意にEPの低下がみられた。鼓室階の吸引ではEPの低下はみられなかったが、聴力温存を目的とした人工内耳の電極挿入については、より侵襲の少ない慎重な挿入が求められることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた、鼓室階侵襲による蝸牛機能変化を検討することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、鼓室階および前庭階開放後の音響・振動による蝸牛機能の変化を検討する。また、是までの検討をふまえ、様々な条件下での蝸牛保護物質による蝸牛機能の保存についての検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、本年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり 平成25年度請求額と合わせ、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
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