2013 Fiscal Year Annual Research Report
蝸牛および蝸牛神経の低形成に関する分子遺伝学的研究
Project/Area Number |
24659753
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Research Institution | 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター) |
Principal Investigator |
松永 達雄 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), その他部局等, その他 (90245580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 厚志 岩手医科大学, その他部局等, 教授 (30327655)
宮 冬樹 独立行政法人理化学研究所, その他部局等, 研究員 (50415311)
務台 英樹 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), その他部局等, 研究員 (60415891)
工藤 純 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (80178003)
鈴木 直大 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), その他部局等, 研究員 (90611195)
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Keywords | 遺伝性難聴 / 蝸牛低形成 / 蝸牛神経低形成 / 次世代シーケンサー / エクソーム解析 / 新規疾患遺伝子 |
Research Abstract |
目的と手法:蝸牛低形成およびそれに付随する蝸牛神経低形成は聴覚に重大な影響を与え、治療困難な奇形であるが、これまでその原因はほとんど明らかになっていない。我々は本奇形を認めた難聴の3家系で本症の遺伝的原因を同定することを目的として次世代シークエンサーを用いたエクソーム遺伝子解析を行った。いずれも孤発例であり、健聴者の両親、患者の3検体の血液由来ゲノムDNAを用い、Illumina社製Hiseq2000シーケンサーにより全エクソンの配列データを創出し、理化学研究所ゲノム医科学センターのワークステーションを利用して変異解析をおこなった。公開されている遺伝子多型データベース(dbSNP,1000GENOME, ESP6500)、疾患に関する遺伝子変異データベース(HGMD)、日本人健常者のin houseデータベースの参照、および家系解析を行った。同定された原因候補遺伝子について、細胞および実験動物を用いた検討を加えた。 結果および考察:3家系中2家系より、それぞれX遺伝子とY遺伝子のde novo 突然変異を、新規の難聴原因候補として同定することに成功した。転写因子Xは、眼球運動障害を伴う患者家系で同定された。本遺伝子がげっ歯類および霊長類蝸牛神経で高発現していることをRT-PCRおよび免疫組織化学的に確認した。また神経芽腫NB-1細胞のdb-cAMPによる神経突起伸長刺激によりX発現量が上昇することから、神経細胞の分化に重要な役割をもつことが推測された。臼蓋形成不全を伴う患者家系において同定された転写因子Yが正常な内耳発生に必要であることは、動物モデルの研究により既に報告されているが、蝸牛神経低形成を伴う難聴の原因候補として同定されたのは本研究が初めてである。以上の研究成果は蝸牛および蝸牛神経低形成に対する遺伝子診断への活用が可能であり、臨床的にも重要である。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Diverse spectrum of rare deafness genes underlies early-childhood hearing loss in Japanese patients: A cross-sectional, multi-center next-generation sequencing study.2013
Author(s)
Mutai H, Suzuki N, Shimizu A, Torii C, Namba K, Morimoto N, Kudoh J, Kaga K, Kosaki K, Matsunaga T
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Journal Title
Orphanet J. Rare Dis
Volume: 8
Pages: 172
DOI
Peer Reviewed
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