2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24659758
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
稲谷 大 福井大学, 医学部, 教授 (40335245)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | トランスレーショナルリサーチ |
Research Abstract |
線維柱帯切除術は緑内障手術のゴールドスタンダードとして確立されているが、この手術の問題点として、過去の内眼手術によってその線維柱帯切除術の手術成績に悪影響があることが指摘されている。我々は、内眼手術が線維柱帯切除術に与える影響を調査する臨床研究と、内眼手術によって生じた結膜手術瘢痕を再生して線維柱帯切除術の手術成績を改善する基礎研究をおこなった。まず、臨床研究では、超音波乳化吸引術で水晶体再建術をおこなった緑内障症例と手術既往のない緑内障症例に同じ手技で線維柱帯切除術をおこない、その術後成績を前向きに調査した。その結果、超音波乳化吸引術で水晶体再建術をおこなった緑内障症例の方が有意に線維柱帯切除術の手術成績が不良であった。また、超音波乳化吸引術をおこなった症例の前房中のサイトカイン濃度を超音波乳化吸引術の術前、術1年後と比較すると全例でIL-8とMCP-1が上昇していた。ウサギを用いた実験では、炎症サイトカインの添加によって、結膜に炎症性細胞が浸潤し、結合組織の増生を確認することが出来た。超音波乳化吸引術で水晶体再建術をおこなった緑内障症例に対する当面の対策として、線維柱帯切除術の結膜切開デザインによって術後経過に違いがあるかを調査する前向き臨床試験を開始し、症例エントリーをおこなっている。結膜瘢痕を再生で改善する基礎研究として、線維柱帯切除術に適したサイズの口腔粘膜上皮シートの作成を施行している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床研究は順調に結果がでており、一部のデータについては研究実施1年目に論文発表をおこなった。また新しい臨床研究に関しても、順調に症例エントリーが進んでいる。動物実験に関しては、炎症性サイトカインの研究はデータが出ているが、眼表面の再生研究に関しては、上皮シートの作成の条件決めが遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定どおり、昨年度エントリーをおこなった前向き臨床試験の症例の経過観察を継続し、その術後成績をデータ収集する。眼表面の再生研究の動物実験については、上皮シートの作成の最適な条件決めをおこない、ウサギ眼への移植を開始する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度、上皮シート作成の条件決めに時間がかかり、開始できなかったウサギ眼への移植実験への費用として用いる予定である。
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Research Products
(5 results)