2013 Fiscal Year Research-status Report
家兎気管欠損ステント治療モデルにおける周囲肉芽と細胞増殖/mTORシグナル解析
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24659773
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
窪田 正幸 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50205150)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 康伸 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (40334669)
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Keywords | mTOR / rapamycin / trachea / tracheal substitute / coil / metallic |
Research Abstract |
家兎の広範気管欠損モデルにおいて、代用気管としてチタンニッケル形状記憶合金コイル(中心部を二重とする)を開発し、2ヶ月のフォローでは100%の生存が可能となった。しかし、この代用気管の問題点はコイル内外に発生する肉芽組織が、内腔の閉塞や局所感染を来す点であった。そこで、細胞内シグナル伝達系であるmTORシグナルに注目し、肉芽形成を予防する目的で、術前よりラパマイシンを筋肉内投与し、その効果を検討した。 昨年度報告した如く、ラパマイシン投与下では、創感染の発生率が上昇し、肉芽自体も不良肉芽と考えられる柔らかい半液状結合織に変化し、常時産生され続けることより肺炎の原因になるなど、ラパマイシン投与により全身状態が悪化した。これは、ラパマイシンのもつ線維芽細胞抑制作用だけでなく、免疫機構抑制作用などが複合的に作用した結果であり、この興味深い知見は小児外科領域で最も権威のある欧文誌に投稿し掲載された(Kubota, M., et al. (2013). "Effects of rapamycin on granulation formation in response to centrally doubled coiled stents as a tracheal substitute." J Pediatr Surg 48(12): 2416-2424.)。 本年は、同様の代用気管実験において、ラパマイシンの投与時期を術後2週間からとするモデルで現在検討している。また、広範気管欠損部を放置すると自然に欠損部が線維性被膜で被覆される。この薄い被膜は気管の呼吸運動に耐える強靱なもので、この被膜におけるmTORシグナルの活性化に関しても免疫組織検査だけでなく、PCR, Westernblotを用いて検討している。また、この被膜における幹細胞の増生についても検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ラパマイシンの発現を家兎の気管組織と肉芽組織で、免疫組織検査法、PCR、Westernblot法にて検討することができた。家兎は各種抗体産生に使用されるため、mTOR検索のための抗体選定に当初問題があったが、各種調べることで克服できた。初年度の実験で、ラパマイシンの薬理作用の複雑さを発見し、それを克服するための方法論へと発展させることができた。 また、当初は、ラパマイシンの肉芽形成に及ぼす影響のみを検討していたが、代用気管を用いないで欠損部を放置すると気管狭窄は発生するものの自然修復機構により強靱な線維性被膜が欠損部に産生される。代用コイルに対して発生する肉芽組織と自然修復される被膜におけるmTORシグナル発現を調べることで、肉芽形成予防機構の新たな方法論展開に繋がるものと期待している。 また、線維性被膜における幹細胞の発現を検索することで、強靱な被膜の新たな生物学的素材としての臨床応用も視野にいれることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1)家兎における広範気管欠損モデルと代用気管としての紡錘形中心部二重コイルの有用性の検討を継続する。臨床的に応用のしやすい方策として、ラパマイシンの投与期間を術後からに設定し、その術後何週目からが最も肉芽形成が少ないかを検討する。ラパマイシンは、術前より投与すると創傷治癒を送らせることが明らかとなり、創傷治癒がある程度完成する2週間後からの投与スケジュールで現在検討している。これを、4週間後での結果と比較検討することで、至適投与時期が検討できる。 2)広範気管欠損部を放置した際に欠損部に発生する被膜について。これは、自然修復機構により発生するもので、他の臓器ではこのような現象は報告されていない。この被膜におけるmTOR発現や幹細胞発現を検討することで、この被膜を組織修復に適した生体材料として、代用組織、止血組織などに使用できないかを検討する。そのために、まず組織学的検査、PCR、Westernblotにより、修復機構を明らかにしてゆく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
家兎の免疫組織検査に使用するmTORシグナル各種抗体が、比較的少数の検索で適切な抗体が同定されたため。また、次年度に新たな抗体を使用する際に必要と考えられたため。 家兎の実験に使用する必要物品に使用し、英文論文校正10万円、最終年度のため出版物の作成に10万円を使用する予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Risk of subsequent biliary malignancy in patients undergoing cyst excision for congenital choledochal cysts2013
Author(s)
Ohashi T, Wakai T, Kubota M, Matsuda Y, Arai Y, Ohyama T, Nakaya K, Okuyama N, Sakata J, Shirai Y, Ajioka Y
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Journal Title
J Gastroenterol Hepatol
Volume: 28
Pages: 243-247
DOI
Peer Reviewed
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