2012 Fiscal Year Research-status Report
胎児尿路閉塞による委縮膀胱に胎児期ボツリヌス毒素を用いた効果
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24659774
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
長江 秀樹 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (90468942)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 胎児尿路閉塞 / ボツリヌス毒素 / 胎児治療 / プロテオミクス |
Research Abstract |
研究目的:胎児期の尿路閉塞に対しておこなう膀胱ー羊水腔シャントは胎児期の排尿サイクルを損なうため、膀胱機能を廃絶させ、肥厚した膀胱が形成されている。そこで、胎児期にボツリヌス毒素を胎児膀胱に注入することで出生後の膀胱機能を温存できるか実験的に証明する。 方法:まず、肥厚した膀胱を作成するため、妊娠60日の羊胎仔を帝王切開で臍帯をつけたまま、雌では尿膜管と膀胱頸部、雄では尿膜管と陰茎部尿道をサイラスティックチューブで結紮した。その3週間後に膀胱—羊水腔シャントをおこなう。また、臨床では、腹壁破裂の患児,特に膀胱外反などでは肥厚した膀胱壁を認めるため、妊娠60日で臍帯ヘルニアを作成し、肥厚した膀胱が作成されるか検索した。内視鏡的に膀胱壁にボツリヌスを注入しようと試みた。 結果:胎生60日に尿路閉塞を16匹に作成し14匹生存(87%)した。5匹は尿路閉塞のみ、シャントは9匹におこなったが、130日後に生存していたのは12匹で、膀胱の壁肥厚は2匹に認められた。また、腹壁破裂を8匹に作成したが5匹が生存し、腹壁が自然に閉鎖したのが1匹、膀胱壁の肥厚は認められなかった。また、胎生の80日で超音波ガイド下に穿刺で膀胱壁にボツリヌスを注入することは困難であった。また、羊水の分析をおこない正常な羊水中のプロテオミクスを調べることで、ボツリヌス投与時の羊水中の変化が見ることができないか検討した。 まとめ:膀胱壁の肥厚したモデルは尿路閉塞後3週間で膀胱羊水腔シャントをおこなった後、130—140日の満期で犠牲死させた場合に著しかった。また腹壁破裂を作成しても膀胱の壁には影響は見られなかったが、羊水中のプロテオミクスは正常な羊水と腹壁破裂モデルの羊水では異なっていた。ボツリヌス注入後の羊水検査で,正常羊水との差を見ることが可能と思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
膀胱壁の肥厚したモデルに内視鏡的にボトックスを注入する予定であったが内視鏡的には不可能なため,尿路閉塞後3週間でシャントを挿入するときにボトックスを注入することとして、ボトックス注入していないモデルと,注入したモデルでの差を見ることに変更した。
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Strategy for Future Research Activity |
胎児期のボトックス注入療法は他には報告が無いため、昨年度作成できた膀胱肥厚したモデルに内視鏡的では無く、帝王切開で膀胱羊水腔シャントをおこなうときに直視下にボトックスを注入する方針とした。また、羊水中のプロテオミクスで、モデルにより差が認められたため、ボトックスの羊水中の影響を見ることができる可能性が新たに出てきた。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は尿路閉塞3週間後に直接ボトックスを膀胱粘膜内に注入し、その後シャントをおこない、満期で帝王切開をおこない、羊水検査とボトックスを胎児期に注入したモデルと,注入しないモデルで差を見ることで新たな胎児治療の可能性が推察されることを期待している。研究費は、羊の購入代金、薬剤、渡航費、英文校正等に用いる。
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Research Products
(2 results)