2013 Fiscal Year Annual Research Report
胎児尿路閉塞による委縮膀胱に胎児期ボツリヌス毒素を用いた効果
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24659774
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
長江 秀樹 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (90468942)
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Keywords | 胎児尿路閉塞 / ボツリヌス毒素 / 胎児治療 / プロテオミクス |
Research Abstract |
概要:成人領域で収縮した筋肉にボツリヌス毒素を用いた治療が各分野で行われ、泌尿器科領域では難治性の過活動性膀胱に応用されている。そこで我々は胎仔期に膀胱壁の肥厚した羊モデルを作成し、胎児期にボツリヌスを膀胱壁に注入することにより膀胱の収縮をおさえる事が出来ないかと考えた。 本研究はNew Zealand, Otago大学と協力して行っている。研究者らは過去10年間以上にわたり同様の方法で実績を上げている。 方法:胎生60日に尿路閉塞モデルを作成する。その3週間後に膀胱—羊水腔シャント手術と膀胱壁3 カ所に0.05ml(total 1.5単位/body)ずつボツリヌス毒素(ボトックスビスタ)を注入する。満期(145日)まで子宮内で胎仔を発育させ膀胱容量、膀胱壁のコンプライアンスの測定、病理学的検討を行った。 結果:6匹の羊胎仔に尿路閉塞を作成し、全例膀胱壁の肥厚が認められた。3週間後にボツリヌス毒素を注射したが生存率は2匹(33%)であった。一例は腹壁破裂を起こし両足に強い癒着を認めた。しかし膀胱容量は25mlと確保できた。病理検査では、筋層は正常と比べやや破壊されているものの正常に近い所見であった。もう一例はシャントチューブが外れ膀胱容量は確保できなかった。 まとめ:一例において膀胱容量を獲得する事ができたが、生存率は満足いくものではなかった。これまで胎仔羊にボツリヌス毒素を使用した経験はなく、使用量は決まっていない。ラットにおいて200単位/kgまで副作用は認められなかったと報告されている。2013年羊胎仔では羊10単位/kgと設定し、膀胱壁の変化は認められた。今後は投与量と生存率の関連性を調べることが必要であった。
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