2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24659785
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
武部 貴則 横浜市立大学, 医学部, 助手 (20612625)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 英樹 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70292555)
小林 眞司 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員准教授 (90464536)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 移植・再生医療 / 再生医学 |
Research Abstract |
頭頚部領域の組織変形に対し優れた弾性軟骨再生治療を開発することは、全世界で100万人以上の患者に待ち望まれている。申請者は再生医療の実現化を目指し、弾性軟骨であるヒト耳介軟骨膜に存在するヒト軟骨前駆細胞の分離・培養法などの細胞操作法を確立してきた(Takebe T, et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 2011)。これらの前駆細胞を用いた再生治療を実現化するためには、in vitroにおいて成熟軟骨細胞へ終末分化誘導する方法論の開発が急務である。 申請者らは、まずマウスおよびヒト軟骨前駆細胞から軟骨組織構築の過程を目視下で経時的に追尾することにより、軟骨前駆細胞から成熟軟骨細胞への分化過程において血管系細胞との相互作用が必須となることを示した。そこで、生理分化プロセスおいて生じる血管系細胞との三次元的な相互作用を再現化することの可能な培養系を検討し、足場材料によることなく軟骨前駆細胞集団に血管系細胞を時空間的に配置する三次元培養系を確立することに成功した(武部貴則, 他.「軟骨細胞の調製方法」特願2013-58534 (出願日2013.3.21))。このような、“一過性血管化”を再現することにより、従来達成されていなかった成熟軟骨細胞への効率な終末分化誘導が可能であることが示された(Takebe T, et al, Under review )。 既成概念とは全く異なる新たな分化誘導戦略に基づき三次元ヒト軟骨組織を再構成することにより、将来的に莫大な疾患ニーズの存在する頭頚部領域の組織変形を有する患者を対象として、軟骨再生医療応用するための極めて有益な再生医療技術となることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画の通り、軟骨前駆細胞の単離および特性解析、ならびに、軟骨細胞の終末分化プロセスにおける血管系細胞の三次元イメージングを実施することができた。これに加え、H25年度において実施を予定していた、上記解析より解明された軟骨終末分化プロセスの再現を可能とする革新的な培養系も新規に確立し、特許出願も完了していることから当初計画を大幅に上回る進捗状況にあるといえる。また、これらの成果は権威ある国際学術誌にて、論文審査中である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに、ヒト軟骨前駆細胞をから足場材料に頼ることなく細胞のみから、三次元的にヒト血管系細胞を組み込む培養技術を確立した(武部貴則, 他.「軟骨細胞の調製方法」特願2013-58534 (出願日2013.3.21))。 次年度においては、本培養系における軟骨前駆細胞の分化誘導を促進するメカニズムの解明を目指し、血管排除過程に集積する分子群を免疫学的手法により同定し、それらを培養系に導入することにより試験管内における血管排除効果・分化誘導効果の検証を行う。 特に、申請者が発見した軟骨未分化マーカーであるCD44リガンドのヒアルロン酸およびその修飾たんぱく質( 各種プロテオグリカン)に着目し解析を行う。なぜならば、1. 高濃度ヒアルロン酸はプロテオグリカンの付加により血管新生阻害作用を有すること、2. 軟骨幹細胞のTransient Amplificationを誘導する作用が示唆されているからである(未発表データ)。尚、in vitro解析系としては、マトリクス成分の乾燥試料を用いて、FACSによりクローナルに分取した軟骨幹細胞および血管内皮細胞に対する増殖・分化に対する作用の検証を行う。これにより、血管排除を誘導する最適な細胞外マトリクス環境を決定し、独自の三次元培養系へと導入することで至適環境を人為的に構成し、発生・再生過程で生じる一過性血管化を伴う生理分化プロセスの再現化を行う。作成された三次元構造体の優位性を定量的に評価するために、従来技術(ペレット培養)により培養された軟骨様組織との比較解析を実施する。力学的特性や乾燥重量の比較に加え、半定量および定量RT-PCRによる遺伝子発現解析、ELISA法により蛋白分泌定量解析、免疫組織化学を含む各種組織学的評価を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞培養用の試薬に使用し、得られた細胞はFACSによる定量的な解析を遂行するために利用する。したがって、このFACS解析のために、蛍光標識されたモノクローナル抗体の購入に利用する。また、メカニズム解析のために、各種シグナル伝達阻害剤やノックダウン用ベクター、関連消耗品費の購入にあてる。 また、平成24年度においては、試薬代が想定よりも安価に入手できたため若干の繰越金が生じた。次年度において必要な試薬代へ当てる予定である。
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Research Products
(25 results)