2013 Fiscal Year Research-status Report
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24659799
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
山村 仁 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10438228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝端 康光 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90420736)
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Keywords | 災害 / 通信体制 / 通信機器 / 衛星電話 |
Research Abstract |
本年度の研究では、現在広く用いられている衛星電話にウエブやインターネットが行える機能を持たせることで、それが災害対応時のコミュニケーションのツールとして実用性があるかを検証することである。昨年度に行った東日本大震災での連絡体制の実態に関するアンケート調査では、衛星電話の回線が繋がらない、通信の安定性が悪い、操作性が悪いなどの問題点も解った。この問題を解決する目的で、平静25年度は衛星電話ワイドスターII(NTT docomo)にWi-Fiルータを接続し、衛星電話から複数のコンピュータやスマートフォンの接続ができるシステムを構築して、その通信速度を測定した。まず、室外での受信レベル CNR (Carrier to Noise Ratio: dB) を9dB, 7dB, 5dBと変化させて通信速度を測定した。下り速度は、9dBで122~138 Kbps (16KB/sec), 7dBで65~94 Kbps (12 KB/sec), 5dBで36~49 Kbps (4 KB/sec)と、電波の受信レベルが悪くなるとともに、通信速度も低下した。一方、上り速度は、200KBの容量データを送信した場合9dB, 7dB, 5dBのいずれの受信レベルでも、30 Kbpsで送信時間は52秒と安定していた。次に室内(ガラス越しにアンテナを設定)の場合、下りの速度は室外の時と差はなかった。上りの速度は200KBの容量データの送信した場合9dB, 7dB, 5dBのいずれの受信レベルでも、11 Kbps で送信時間は136秒かかり、室外のときに比べて送信時間の延長を認めた。 以上の結果から、災害時に衛星電話を用いインターネット回線を利用したデータ通信は可能であるが、その通信速度は遅いためリアルタイムでの通信は限界がある。しかし、瞬時の通信を必要としないデータ通信には有用であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度には、予定したアンケート調査を実施し、その結果を国内外の学会で発表したが、その内容を英文論文として作成し現在投稿中である。平成25年度は計画していた、衛星電話にWi-Fiルータを接続し、インターネット回線を持いた通信実験を行うことができた。この実験結果は、平成26年2月に行われた日本集団災害医学会で発表した。また、平成25年6月に国際学会であるWorld Conference on Disaster Managementで発表する予定である。平成25年度に行った実験は、その施行回数が少ないため、平成26年度には、その回数を増やして行うとともに、衛星電話の設置場所を変えて行う追加実験が必要となる。 当初に立案した研究計画の90%は実施することができおり、未実施分については、平成26年度に行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、平成25年度の行った実験結果をWorld Conference on Disaster Managementで発表するとともに、その結果について論文を作成し投稿する予定である。また、平成24年度のアンケート結果については、既に英文論文を作成し国際雑誌に投稿中であり、その受理を目指す。また、平成26年度に行う予定研究は、平成25年度に行った通信実験の回数を増やすともに、衛星電話の設置場所を変えて行う追加実験が必要となる。また、これらの結果を得て、災害時の急性期に有用である通信機器の整備とタブレット型コンピュータを内蔵した一体型の衛星電話の開発を提案する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
衛星電話にWi-Fiルータを接続することで、インターネット回線を利用したての通信実験を予定していたが、予定施行数より実際に行った回数が少なかったため、次年度使用額が生じた。 昨年度に行えなかった通信実験を次年度に繰り越して行う計画としており、その実験を行うための費用とする。
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Research Products
(3 results)