2012 Fiscal Year Research-status Report
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24659800
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Research Institution | Ehime Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
佐川 輝高 愛媛県立医療技術大学, 保健科学部, 助教 (90162320)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 血液型 / 唾液 / ELISA / ABO血液型抗原 / ルイス血液型抗原 |
Research Abstract |
本研究では、災害時に電気を必要とすることがなく実施できる血液型判定法の開発を試みている。具体的には、唾液のみを用いたELISA 法による血液型判定法の確立である。【①唾液中の型物質による抗原の同定法の確立】これまでの血液型検査では、おもて試験にあたる。実験協力ボランティアの唾液を精製せずに使用し、また抗体としてはボランティア血清および市販の抗体を用いて、効率の良い検査マニュアルの作製を行った。唾液採取から結果判定まで最短で1時間30分(抗原のマイクロプレートへの結合30分、1次抗体・2次抗体各20分)で終了するプロトコルを作製した。 【②唾液を用いた抗体判定】本年度はこれの確立のために未精製唾液抗原、合成ABO型抗原、イオン交換およびゲルろ過カラム精製抗原を用いた。プロトコルを組み立てるために、これらの抗原と市販の抗体およびボランティア血清を抗体として用いて実験を行った。未精製唾液抗原、イオン交換およびゲルろ過カラム精製抗原に関しては、①と同じ方法で血液型判定が可能であることが確認できたが、合成ABO型抗原を用いた場合に、判定が不可能であった。そこで、未精製唾液抗原、イオン交換およびゲルろ過カラム精製抗原を用いて唾液中の抗ABO血液型IgA抗体の検出を試みたが成功しなかった。一方、唾液ではなく既に出血がある場合に得られる少量の赤血球の表面抗原を用いたELISA法の確立も試みたが、判定結果が安定せず、抗原のマイクロプレートへの固定に更に工夫が必要であると考えられた。 【③抗原性の維持】未精製の抗原をろ過滅菌した場合には3ヶ月たっても抗原性が維持されていることがわかった。一方、精製抗原における抗原性の消失にデタージェント等に効果の可能性が認められたが、マイクロプレートへの結合の際に添加物が邪魔をしてしまうという問題点も考えられ、更に検討が必要であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1.抗原精製に使用するはずであったHPLCシステムに不具合があり、これを使用して実験を遂行することが困難となった。また、HPLCで得られる抗原量が少ないため、抗原精製法を再検討必要があると考えられた。 2.モノクローナル抗体作製のためにマウスにABO各型の赤血球および唾液を免疫してが、この免疫によるマウスへのダメージが想像以上に大きく、一般的な免疫法ではアナフィラキシーショックで死亡してしまう。このため、抗体産生細胞を効率よく脾臓から得るための、免疫法の条件づくりに時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
血液型検査のプロトコル自体は確立したので、遅れている抗原精製のスピードアップをはかる。そのためHPLCの利用をやめ、低圧クロマトグラフィーのシステムを購入し抗原精製の実現効率化をはかる。 また、現在、マウスへのマイルドな免疫方法が確立しかけている状態なので、この免疫法で免疫したマウスを用いたモノクローナル抗体の作製を行う。一方で免疫に用いるマウスの系統の検討も行なっているので、その結果もモノクローナル作製に反映させる。一方、抗ABOおよび抗ルイス抗体のクローンにより判定結果の有無強弱などがあり、市販されている以上の抗体の種類が必要であると考えられた。このため、作製するモノクローナル抗体は精製以外にもABO 型抗原分泌型非分泌型の分布を調べる際にも用いる。 これらを用いて精製抗原を用いる一方、少量の赤血球より得られる表面血液型抗原を用いたELISA法の確立も試みる
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
【抗原の精製】マウスモノクローナル抗体作製、これを用いてアフィニティーカラムを作製、これを用いてボランティアの唾液より抗原の精製を行う。低圧クロマトグラフィーによりボランティアの唾液より抗原の精製を行う。 【抗原性の維持】ELISA法に用いる際に影響しない精製抗原抗原性維持法を確立する。 [ELISA 法によるABO 血液型判定法]精製抗原を用いて、未精製抗原との反応性の比較、および、唾液中の抗体判定法の確立を行う。また、複数モノクローナル抗体を用いて抗原と抗体クローンの反応性の関係を調べる。 【ABO 型抗原分泌型非分泌型、血液中のIgG サブクラス ルイス抗原の分布】上の実験を行う際に収集するボランティアサンプルを用いて、ABO 型抗原分泌型非分泌型、血液中のIgG サブクラス ルイス抗原の分布を従来法およびELISA 法により調査し、データを蓄積する。
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