2012 Fiscal Year Research-status Report
グリコーゲンの新たな機能の解明ー歯胚・骨形成促進剤としての臨床応用に向けてー
Project/Area Number |
24659810
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
依田 浩子 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (60293213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中富 満城 新潟大学, 医歯学系, 助教 (10571771)
田中 みか子 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (20361909)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | グリコーゲン / 歯胚形成 / 骨形成促進剤 / グリコーゲン代謝 |
Research Abstract |
本研究では歯胚における細胞内グリコーゲンの蓄積意義を解明するとともに、細胞内グリコーゲン蓄積作用を持つ酵素合成グリコーゲンを、歯胚・歯槽骨形成促進剤として臨床応用することを目指して、作用メカニズムの解明からin vivoでの有効性の検証までを行うことを目的としている。平成24年度には以下の研究結果が得られた。 1. 歯胚におけるグリコーゲンの局在と代謝:各発育段階のICRマウスの歯胚組織について、グリコーゲン・グルコース輸送体・グリコーゲン合成・分解酵素について免疫組織学的解析を行った。その結果、グリコーゲンは胎生期歯胚の歯堤上皮、エナメル器および歯小嚢に時期特異的に強陽性を示し、とくにエナメル芽細胞の分化過程において、グルコース輸送体・グリコーゲン合成・分解酵素が時期特異的に発現調節がなされていることが示された。 2. 細胞内グリコーゲンの蓄積と細胞増殖、細胞分化との関連性の解明:マウス歯胚組織において、グリコーゲン陽性細胞は、Ki67陽性は示さず、細胞増殖部位とは一致しないことが明らかとなった。また、生後歯胚におけるエナメル芽細胞および象牙芽細胞分化との関係については、前エナメル芽細胞はグリコーゲンを蓄積していたが、形成期エナメル芽細胞への分化に伴い、細胞内グリコーゲン顆粒は消失していた。一方、歯髄組織では、歯髄中央部にはグリコーゲン陽性細胞が認められるものの、分化した象牙芽細胞にはグリコーゲンの蓄積は確認されなかった。以上より、歯胚細胞では、最終分化の直前にグリコーゲンが一過性に蓄えられ、細胞分化に必要なエネルギーを貯蔵している可能性が明らかとなった。 前項までの実験結果より、マウス歯胚発育とグリコーゲン代謝との関連性が解明されつつある。次年度はその作用メカニズムの解析を具体的に検証するとともに、酵素合成グリコーゲンの歯胚再生への応用を目指した基礎データを揃えていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初に提出した研究計画調書の年次計画通りにすすんでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、研究計画調書通り、以下の項目を遂行する。 1.酵素合成グリコーゲンによるin vitro系での細胞内グリコーゲン代謝への影響 ① 酵素合成グリコーゲン (ESG)添加による歯胚上皮・間葉細胞の細胞増殖、分化誘導実験、② 酵素合成グリコーゲン添加による歯胚器官培養実験。とくに、歯胚エナメル器、歯胚周囲の骨形成に着目し、細胞内グリコーゲン蓄積の有無の歯胚形成への影響を具体的に解明する。 2. 酵素合成グリコーゲンのマウスモデルを用いたin vivo系への応用(歯周病モデルマウスを用いた解析):歯周病モデルマウスの歯槽骨欠損部にESGの添加実験を行う。同実験系ではESGの持つ免疫賦活作用にも焦点を当てて、骨形成状態の検索に加えて炎症性細胞の動態を含めた歯周組織の経時的な治癒パターンについても病理組織学的に検索する。さらに各種担体の組合せによる歯槽骨再生効果の違いについても判定し、臨床応用に効果的なESGの投与方法を見いだす。 前項までの実験結果より、マウス歯胚発育とグリコーゲン代謝との関連性を解析し、細胞内グリコーゲン代謝の促進作用を持つESGが歯胚発育に及ぼす影響について、作用メカニズムの解析およびマウスモデルを用いたin vivo投与実験による有効性を検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計画通り、実験用動物や各種試薬などの消耗品費のほか、研究成果発表のための外国旅費(International conference on Tooth Morphogenesis and Differentiation, フランス)および国内旅費として使用する計画である。
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Research Products
(6 results)