2012 Fiscal Year Research-status Report
ヒト乳歯幹細胞を用いた造血機能再生医療へのチャレンジ
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24659815
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山座 孝義 九州大学, 歯学研究科(研究院), 講師 (80304814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山座 治義 九州大学, 歯学研究科(研究院), 講師 (30336151)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 乳歯幹細胞 / 骨髄ニッチ / 再生医療 / エリスロポイエチン |
Research Abstract |
1.SHEDの単離と培養:九州大学病院小児歯科外来で、患児ならびにその保護者の同意のもと採集された脱落乳歯の歯髄から、乳歯幹細胞(SHED)を単離した。フローサイトメトリー法にて、間葉系幹細胞のマーカーの発現(CD146, CD90, CD105, CD73陽性;CD34, CD45, CD14陰性)を確認し、さらに骨芽細胞/軟骨細胞/脂肪細胞への分化誘導も示した。単離したSHEDは3継代し、研究に供した。 2.SHEDにおけるエリスロポイエチン(EPO)受容体の発現解析および機能性解析:RT-PCR法、フローサイトメトリー法、免疫蛍光染色法、Western Blotting法にてSHEDにおけるEPO受容体の発現を明らかとした。また、EPO(1, 10 , 100 ng/ml)刺激下にて、EPO受容体下流分子Stat5のリン酸化の経時的変動を解析したところ、刺激後30分程でStat5のリン酸化の上昇が確認された。siRNA法により、EPO受容体の発現の低下およびStat5の発現ならびにリン酸化の低下を確認した。 3.EPO刺激SHEDの生体内骨髄ニッチ再生能力を解析:EPOで3日間刺激したSHEDとハイドロキシアパタイト/リン酸三カルシウム結晶とを混合し、免疫不全マウスの皮下に移植した。移植8週後の移植体を用いた組織学的解析(パラフィン切片)により、EPO刺激群での骨髄ニッチ形成の増加所見が認められた。免疫染色法により、新生骨表面にヒト由来細胞の局在を示した。EPO受容体およびStat5 siRNAで処理したSHEDを同様の手法で移植した移植サンプルで骨髄ニッチの再生能力の比較検討を組織学的に積極的に行っている。 また、平成24年度の歯科基礎医学会にてサテライトシンポジウムを開催し、歯の幹細胞による再生医療に関する知識の集積と情報交換に努めた。また研究成果も発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第1のステップでは、SHEDを単離し培養した。単離した細胞が間葉系幹細胞であるか否かを確認するために、細胞表面マーカー発現と多分化能の解析に成功した。我々が乳歯歯髄から単離した細胞は間葉系幹細胞の一種であるSHEDであると確認した。継代培養は問題なく行えた。 第2のステップでは、SHEDにおけるEPO受容体の発現を遺伝子レベルおよび蛋白質レベルで確認した。さらに発現している受容体が機能的な受容体であるかを検索するため、そのリガンドであるEPOで刺激し、受容体下流シグナルのStat5のリン酸化の検知にも成功した。残念ながら計画していたJak2は抗体の親和性の問題からか決定的なデータは得られなかった。またsiRNA法により、EPO受容体および Stat5の発現低下も確認した。 第3のステップでは、EPO刺激したSHEDを用いて、皮下移植実験を行い、生体内骨髄ニッチ再生能力を解析した。組織学的にEPO刺激群では骨髄ニッチの再生が進んでいた。ただし、 マイクロCT解析とEPO受容体およびStat5 siRNAで処理したSHEDの骨髄ニッチの再生についての解析は現在進行中である。 一部の解析が未完了であるが、本年度計画した研究内容をほぼ行い、 SHEDにおけるEPO受容体を経由した骨髄再生の研究内容ををほぼ達成した。したがって、本年度の達成度を自己点検した区分を「おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、現在進行中の解析を早急に行うことを急務とする。 当初の研究計画通り研究を遂行することとに十分に努める。そのためにはハイドロキシアパタイト/リン酸三カルシウム結晶と混合したSHEDを免疫不全マウスの皮下に移植することを作業としなければならない。 まずSHED移植体に再生した骨髄ニッチ中の造血系細胞のキャラクターを解析する。SHED移植体より細胞を回収し、免疫蛍光染色法およびフローサイトメトリー法で造血系細胞のマーカーの発現を検索する。 次に、SHED移植体で再生した骨髄ニッチでの骨髄機能および造血機能の機能を解析する。第1に再生骨髄ニッチの骨髄機能を調べるために、eGFPマウスの骨髄細胞をSHED移植マウスの尾静脈から投与する。投与2週後に回収したSHED移植体を二次移植する。二次移植後4週で末梢血を回収し、eGFP陽性細胞の血中動態をフローサイトメトリー法で解析する。第2に、SHED再生骨髄ニッチの造血機能を検索する。SHED移植体より回収した細胞を全身X線照射したC57BL/6マウスに経静脈的に注入し、その生存状態を解析する。 以上の研究成果をもとにして、SHEDにおけるEPO刺激による積極的な骨髄再生機能に関した論文を作成し、国際学術雑誌(査読あり)に投稿するとともに、国内学会または国際学会で発表し、研究成果を世界に発信することを目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし。
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[Journal Article] Cryopreserved dental pulp tissues of exfoliated deciduous teeth is a feasible stem cell resource for regenerative medicine.2012
Author(s)
Ma L, Makno Y, Yamaza H, Akiyama K, Hoshino, Y, Song G, Kukita T, Nonaka K, Shi S, Yamaza T.
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Journal Title
PLoS One
Volume: 7
Pages: e51777
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Long Term Cryopreserved Dental Pulp Tissues of Exfoliated Deciduous Teeth Utilize for a Feasible Stem Cell Resource for Regenerative Medicine2012
Author(s)
Lan Ma, Yusuke Makino, Haruyoshi Yamaza, Kentaro Akiyama, Guangtai Song, Toshio Kukita, Songtao Shi, Kazuaki Nonaka, Takayoshi Yamaza
Organizer
Gordon Research Conference, Biomaterials & Tissue Engineering
Place of Presentation
Holderness, NH
Year and Date
20120728-20120802
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