2012 Fiscal Year Research-status Report
光刺激を用いた入力線維の選択的活性化による運動ニューロン序列動員神経機構の解明
Project/Area Number |
24659825
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
姜 英男 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (50177755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 元 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (10432452)
齋藤 充 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 講師 (50347770)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 運動ニューロン / 序列動員 / 筋紡錘 / サイズの原理 / 等尺性収縮 / 三叉神経 / 閉口筋 / 光遺伝学 |
Research Abstract |
食物噛み締め時に行われる閉口筋等尺性収縮の神経機構は未だ明らかではない。等尺性収縮は、運動ニューロン(MN)の軸索が細く発揮収縮力が小さい運動単位から大きなものへと序列的に動員されることにより実現されている。閉口筋における運動単位序列動員の神経機構には、運動ニューロンに対する上位中枢からの入力と筋紡錘からの感覚入力が関与することが想定されているが、その詳細は不明である。そこで、閉口筋筋紡錘を支配する三叉神経中脳路核ニューロン(MTN)の軸索に特異的に光感受性のチャネルロドプシン-2(ChR2)を発現させることで、選択的に当該神経線維を光学的に刺激して、三叉神経運動核(TMN)閉口筋領域内のαMNがどの様に活性化されるかを明らかにすることで、閉口筋等尺性収縮時の運動単位序列動員における筋紡錘感覚入力の役割を明らかにする。 本年度は、TMNにおけるMTNの神経終末の分布を、当該終末のマーカーであるVGLUT1に対する免疫組織染色を用いて解析した。VGLUT1陽性の神経終末はTMNの背外側部に認められ、腹内側部には認められなかった。閉口筋及び開口筋MNはそれぞれTMNの背外側部、腹内側部に分布しており、開口筋MNが筋紡錘感覚の入力を直接受けることはないという報告と合致していた。 現時点では、こうしたVGLUT1を発現するIa群入力にChR2-YFPを選択的に発現させることには成功していないが、子宮内電気穿孔法により、大脳皮質第2/3層錐体細胞にChR2と蛍光タグYFPを発現させることには成功している。また、光刺激により第2/3層錐体細胞が活動電位を発生することを観察し、光刺激実験装置が実際に作動することまでを確認することができた。しかしながら、子宮内電気穿孔法では、目的とする三叉神経運動核へのIa入力系に選択的にChR2と蛍光タグを発現させることには未だ成功していない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
光刺激実験装置の動作を確認するため、簡便な子宮内電気穿孔法により、既存のChR2-YFPを大脳皮質第2/3層錐体細胞に発現させて、光刺激により第2/3層錐体細胞が活動電位を発生することを観察することを試みたが、予想外に多くの時間を要した。また、目的とする三叉神経運動核へのIa入力系に選択的にChR2と蛍光タグを発現させることには未だ成功していない。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、ニューロンへの遺伝子導入に用いる子宮内電気穿孔法に精通している京都大学大学院理学研究科の田川義晃講師から手技の指導を受けている。研究代表者の当研究室で当該法を実施するための備品の設置や試薬の準備は完了しており、年度初期の内に遺伝子導入に取りかかることが出来る。 ChR2と蛍光タグYFPを融合させたChR2-YFPを発現させるベクターを設計する際に、適切なプロモーターを選択することで、特定の蛋白質を発現する細胞にのみ融合タンパクを導入できる。MTNニューロンの細胞体および軸索終末にはVGLUT1が発現していることが知られていることから、VGLUT1の100kbp未満のプロモーター群の中から適切な候補を探索する。一方、前運動ニューロンには複数の型の細胞が含まれるため、プロモーターの選定より先に示標となる蛋白質の検索が必要となるが、Peng et al.(J Comp Neurol, 2009)に拠れば、現時点ではVGLUT2が有力な候補として挙げられる。各細胞に特異的でChR2-YFPの導入に最適なプロモーターを決定するまでは、神経系全体に存在するThy-1.2を利用したベクターを設計する(Wang et al., PNAS, 2007)か、或いは、Jackson Laboratories (Bar Harbor, ME) からThy1-ChR2 mice を購入する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、本年度からの繰越金を合わせ凡そ2,100千円の予算がある(以降、金額の単位は千円)。 物品費として、一般試薬250、蛍光試薬350、組織化学実験用試薬150、分子生物学実験用試薬350、実験動物250、ガラス・プラスチック器具150、その他費用として、成果発表及び調査の為の旅費400、英語論文校正料100、研究成果投稿料100、をそれぞれ予定している。
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Research Products
(9 results)