2013 Fiscal Year Annual Research Report
減塩食/高塩分食摂取による塩味感受性・嗜好性・唾液成分変化に関わる分子基盤の解明
Project/Area Number |
24659828
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
重村 憲徳 九州大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (40336079)
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Keywords | 口腔生理 / 味覚 / ENaC / アンジオテンシン / アルドステロン |
Research Abstract |
塩味感受性は外部環境に存在するナトリウム(Na)を検出し、その体内への取り込みに影響する重要な感覚である。体内Na濃度の恒常性維持にはアンジオテンシン-アルドステロン系が重要な働きをすることはよく知られている。近年、長年不明であった塩味受容体がアミロライド感受性上皮性Naチャネル(ENaC)であることが明らかにされ、このENaCの細胞膜発現はアルドステロン投与により亢進されることが報告されていたため、塩味感受性がアンジオテンシン-アルドステロン系により修飾され、この塩味感受性の変化がNa濃度の恒常性維持に重要な働きを担っている可能性が推定された。アンジオテンシンおよびアルドステロンは、体内Na欠乏および水分欠乏時にその血中濃度が上昇することが知られているため、23時間絶水させたマウスをもちいて解析を行なった。味神経(鼓索神経)応答解析の結果、アミロライド感受性塩味応答は非絶水マウスに比べて有意に低下していることが明らかとなった。また驚いたことに甘味感受性の増強がみられた。その他の味質である酸味、苦味、うま味感受性には変化がみられなかった。行動応答解析では、通常嫌う高濃度0.3M食塩水に対する飲水量が増加した。また甘味溶液の飲水量の増加もみられた。発現解析の結果、味細胞においてアンジオテンシンII 1型受容体AT1およびアルドステロン受容体MRが発現していることが明らかとなった。以上の結果から、体内Na/水分欠乏により血中アンジオテンシンIIおよびアルドステロン濃度が上昇し、味細胞に発現するそれぞれの受容体に結合し、ENaCを介する塩味応答を抑制することで塩分摂取量を増加させ、さらに甘味感受性を増強することで糖摂取量を高めている可能性が示唆された。本研究により、塩味/甘味感受性変化を介した体内Na/糖恒常性維持機構の分子基盤の一端が明かとなった。
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Research Products
(18 results)
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[Presentation] ホルモンによる味覚修飾と摂食調節2013
Author(s)
重村憲徳, 吉田竜介, 安松啓子, 大栗弾宏, 岩田周介, 高井信吾, 上瀧将史, 仁木麻由, 實松敬介, 二ノ宮裕三
Organizer
日本味と匂学会第47回大会
Place of Presentation
仙台
Year and Date
20130905-20130907
Invited
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