2012 Fiscal Year Research-status Report
癌の治療から予防法の確立へ:癌に強いマウスの癌増殖抑制と転移抑制機構の解明
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24659843
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
畑 隆一郎 神奈川歯科大学, 歯学部, その他 (10014276)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前畑 洋次郎 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (80410009)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 癌抑制因子 / ケモカインCXCL14/BRAK / 細胞接着分子 |
Research Abstract |
生体内における癌の増殖抑制と転移抑制においてナチュラルキラー(NK)細胞が重要な働きをしている間接的なデーターは多くあるが、その分子機構は不明である。申請者は白血球等を呼び集める作用が知られているケモカインの一種であるBRAK(CXCL14)がNK細胞の癌細胞を殺す作用を促進して腫瘍の増殖や転移を抑制することを明らかにし、これはBRAKがNK細胞と癌細胞の相互作用を強める結果である考えられた。本研究ではこれらのデーターに基づき、1. 癌細胞の培養系においてBRAKを添加した時と、2. 癌細胞にBRAKを発現させた時におこる変化を分子レベルで明らかにした。 1. 癌細胞の培養系でBRAKを添加すると細胞内のシグナルを伝達する低分子GTP結合分子分子であるRap1の活性化(リン酸化)がおこった。この活性化反応は百日咳毒素が共存により阻害された。2. 癌細胞は一般にBRAKタンパク質の発現量が低い。癌細胞にBRAK遺伝子を導入してBRAKタンパク質を発現させると細胞接着分子の発現が増加し、細胞の接着性に変化が起きた。この結果は癌細胞がBRAKと特異的に結合する受容体を発現しており、それを位階して細胞内にシグナルを送って、細胞内の代謝や、細胞接着性を変化させていると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ケモカインCXCVL14(BRAK)の発現による腫瘍抑制機構の一部を分子レベルで沖らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ケモカインCXCL14(BRAK)の腫瘍抑制の分子機構をさらに分子レベルで明らかにし、将来の治療法開発のための基礎的データーを得る。CXCL14(BRAK)研究において一番の問題はCXCL14(BRAK)の結合シグナルを細胞内に伝える役割をする受容体がまだ明らかになっていないことである。24年度の研究により我々が用いた癌細胞が受容体を発現している可能性が示されたので、CXCL14(BRAK)の受容体の実態を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
CXCL14(BRAK)の存在量の測定にRT-PCR試薬、および抗体等を購入する、また、研究のまとめ、および論文投稿に必要なコンピューターの購入、英文校閲料、成果発表のための旅費等に使用する。
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