2012 Fiscal Year Research-status Report
核磁気共鳴映像法(fMRI)とTRP受容器タンパク解析法を用いた歯髄感覚の再分類
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24659845
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
池田 英治 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 講師 (20222896)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 歯髄 / 冷覚 / 痛覚 / TRPM8 / TRPA1 / メンソール / イシリン |
Research Abstract |
核磁気共鳴映像法(fMRI)を用いた歯髄冷覚の研究のためには歯肉に冷刺激が漏れず、触覚・痛覚を刺激し過ぎない刺激装置が最も需要である。寒冷刺激用マウスピースを考案した。寒冷刺激装置(温度設定が零下まで可能)で発生させた冷水をシリコンチューブを通してマウスピース内の空間に流し、還流することで歯の選択的寒冷刺激ができるようになった。 メンソールなどの化学物質をヒト象牙質に作用させて、同様の感覚が生じることがわかった。今後は還流寒冷刺激系と化学刺激の両方でヒト被験者で生じる感覚とfMRIの像を比較記録し始めた段階である。 また、免疫組織学的手法で、TPRM8、TRPA1受容器タンパクの歯髄内標識を確かめた。その結果、前者が歯髄表層、象牙芽細胞層で発現していた。この結果から、非侵害性の寒冷刺激を検出する細胞あるいは神経線維が歯髄表層にあることがわかった。今後は、電気生理学的に象牙芽細胞の寒冷刺激へのTPRM8イオンチャンネルからの記録を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以前のヒト歯髄非侵害姓感覚受容機構に関する研究が成功しなかった理由は、第一に選択的非侵害性寒冷刺激を歯髄に加えることができなかったことと、第二に生じた感覚が歯髄痛覚と歯根膜触覚、歯根膜冷覚にマスクされたからである。これらを克服するために、刺激装置の開発に1年間かかっている。これから、いよいよfMRIを用いた記録を開始する。 また、末梢レベルではTRPM8受容器の免疫組織学的標識に成功したので、その局在の詳細を詰める必要がある。 免疫組織学的を用いて、さらに、アドレナリンbeta2-受容器タンパクが象牙芽細胞層に存在することを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに考案した非侵害性歯髄神経冷刺激回路・刺激装置を使用して、脳血流の変化をfMRIを用いて検出し主観的非侵害姓感覚と客観的fMRI記録画像の比較検討を行う。 また、末梢レベルではTRPM8受容器の免疫電顕法を用いた解析を開始している。TRPM8チャンネルの特性をパッチクランプ法を用いて解析しているところである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
fMRIの研究では、被験者ごとのマウスピース作製と記録系ソフトウェア(Mathworks)の購入、バージョンアップに充てる。 免疫組織学的研究では受容器特異抗体・薬品、実験動物の購入に充てる。 電気生理学的研究の備品はそろっているので、電極、溶液作成用薬品、デジタルデータの記録媒体の購入に充てる。 秋からは研究成果を発表する旅費と論文校正・出版に使用する。
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Research Products
(19 results)