2014 Fiscal Year Annual Research Report
核磁気共鳴映像法(fMRI)とTRP受容器タンパク解析法を用いた歯髄感覚の再分類
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24659845
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
池田 英治 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 講師 (20222896)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 歯髄 / 感覚 / 冷覚 / 象牙質 / 象牙細管 / 象牙芽細胞 / TRPチャンネル |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト新鮮象牙芽細胞で電気生理学的にTRPM8チャンネル蛋白を示めす電位依存性電流が記録できた。この検知信号は歯髄最外層を3次元的に周囲象牙芽細胞に伝播されることが明らかになった。この信号伝播は方向特異性のない電気カップリングを介して行われ、細胞集団が電気容量の大きな巨大細胞として電気的に機能できることがわかった。また、このことはマイクロCTを用いた形態学的研究で、刺激象牙質が3次元方向に添加されることから裏付けられた。 さらに、歯髄組織標本上で同受容器抗体への陽性が免疫組織学的に確認できた。歯髄は痛覚しか持たないとされてきたこれまでの古い考えを打破するかもしれない証拠である。また、ヒト歯髄寒冷刺激を行う口腔内装置を開発し、冷却装置を用いてfMRI室で刺激できるところまできた。 象牙細管は外向き先細りを持つが、直径と励起波長の異なる蛍光小球を露出象牙質に作用させることで、実は象牙芽細胞と象牙細管壁の機能的副径は歯髄側ほど小さくなり、これが象牙細管内容液の移動時に水圧上昇を起し、神経線維終末に動水力学説的神経発射と象牙芽細胞膜にCa信号伝達を引き起こすことが初めて明らかになった。 免疫組織学的に同受容器の陽性像を①歯髄血管周囲(血管拡張作用)と②象牙芽細胞膜で確認できた。次に、同受容器の拮抗剤による第三象牙質形成量の変化を確認する目的で、ラット臼歯の象牙質を露出させた後、拮抗剤を2週間0.8mg/日と4.0mg/日の皮下注射投与を行った群と、投与しなかった対照群の象牙質形成厚さを光学顕微鏡学的に比較した。露出象牙質に繋がる歯髄側象牙細管開口部に象牙質は形成され、その厚みは対照群<0.8mg/日群<4.0mg/日群と統計学的に有意な差があった。これの結果から、交感神経系は象牙芽細胞膜に存在するβ2 アドレナリン受容器を介して第三象牙質形成を抑制していること初めてが明らかになった。
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Research Products
(9 results)