2012 Fiscal Year Research-status Report
細胞集合体を用いたin vitroでの歯髄様組織構築の試み
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24659846
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
今里 聡 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (80243244)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 卓也 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (40324793)
佐々木 淳一 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (50530490)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 歯学 / 組織工学 / 再生歯学 / 歯髄 / 細胞集合体 |
Research Abstract |
In vitroにおける歯髄様組織構築に向け、初年度の平成24年度では、モデルとしての細胞を用いて温度応答性高分子(pNIPAAm)ゲルを応用した三次元細胞集合体作製技術についての検討を行った。具体的には、歯髄の形状に近似した形態(棒状形)の凹みを有するpNIPAAmゲルを調製して、歯髄組織を構成する細胞のうち大部分を占める線維芽細胞(FB)、および象牙芽細胞と性質が類似している骨髄間葉系幹細胞(BMSC)の棒状集合体の作製を試みた。 まず、三次元プリンタで造形したモールドを用いて、異なる大きさの直方体の凹みを付与したpNIPAAmゲル製培養チャンバーを作製し、細胞懸濁液を流し込むことにより各細胞の棒状集合体の作製を試みた結果、BMSCについては、pNIPAAmゲルで培養することで棒状の集合体を作製することに成功した。一方、FBについては、どの大きさの凹みを使用しても球状または不定形の集合体しか形成されなかったため、一旦形成したFB集合体をシーソー型の振盪機上で培養した後に、医療用注射針を通過させる方法を試みた。その結果、FBの球状集合体は棒状集合体に変化し、さらに注射針の直径を変えることで、成形される棒状集合体の太さを制御できることが明らかとなった。 本年度において得られたBMSCおよびFBの棒状細胞集合体の作製技術は、実際の歯髄細胞を用いて棒状集合体を作製するうえでの重要な成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は、三次元細胞集合体作製技術を応用したin vitroにおける歯髄様組織構築を目的としており、本年度には、その基盤技術としての棒状細胞集合体の作製方法の確立を計画していた。研究実績の概要に記載した通り、BMSCについてはpNIPAAmゲルを応用することで、FBに関しては球状集合体を成形することによって、それぞれの細胞の棒状集合体を作製することに成功している。 以上のことから本研究の進捗は、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、今年度に確立した棒状細胞集合体作製方法を用いて、ラット歯髄細胞の棒状集合体の作製を試みる。使用する細胞種によって棒状集合体の成形性が異なることが分かっているが、今年度に確立した方法を応用することで可能になるものと予測される。また、作製した歯髄細胞集合体の機能評価を行うことを目的として、分化誘導培地を用いて培養を行った後に薄切切片を作製し、Dentin sialophosphoprotein(DSPP)等の象牙芽細胞マーカーの免疫組織学的検討と石灰化基質産生評価を行う。これにより、歯髄細胞から分化した象牙芽細胞の分布と機能評価が可能となり、得られた結果を総合的に評価し、これまでの実験にフィードバックすることで、in vitroでの機能的な歯髄様組織構築を確実なものにすることが可能であると考えられる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、新たに歯髄細胞の培養を行う予定であり、細胞培養のための培地、試薬、器材を購入する。さらに、細胞の機能評価を目的とした免疫組織学的検討、石灰化基質産生評価に使用する試薬やキットの購入が必要となる。これら研究遂行に係る消耗品は、上記の研究計画に則り必要性を吟味し効果的に使用する。また次年度は、より多くの研究成果が得られると予想されることから、データをもとにした研究打合せや成果発表に係る費用は、平成24年度と比較して多く使用することを計画している。
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Research Products
(3 results)