2014 Fiscal Year Annual Research Report
細胞集合体を用いたin vitroでの歯髄様組織構築の試み
Project/Area Number |
24659846
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
今里 聡 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (80243244)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 卓也 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (40324793)
佐々木 淳一 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (50530490)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 歯学 / 組織工学 / 再生歯学 / 歯髄 / 細胞集合体 |
Outline of Annual Research Achievements |
In vitroにおける歯髄様組織構築に向け、本年度は、昨年度に確立した温度応答性高分子(pNIPAAm)ゲルを用いた三次元棒状細胞集合体作製技術を応用して、ヒト由来歯髄幹細胞を用いた棒状集合体の作製を試みた。まず、歯髄幹細胞をコンフルエントの状態まで培養皿上で培養し、その後、5日間の培養を行った。次に、培養した細胞をセルスクレーパーでシート状の細胞塊として回収し、pNIPAAmゲルに填入後2日間の培養を行った。その後、ゲル周囲の温度を低下させることによって、ヒト由来歯髄幹細胞のみから構成される棒状の細胞集合体を取り出すことに成功した。一方、コンフルエントの状態後、トリプシン処理で回収した歯髄幹細胞をpNIPAAmゲルに注入したところ、培養期間に関わらず細胞集合体の作製は不可能であった。シート状に回収した歯髄幹細胞を用いることで細胞集合体の作製に成功したことは、歯髄幹細胞を細胞外基質が付着した状態で成形したことで細胞-基質間接着を誘導できた結果であると考えられた。 次に、作製した歯髄幹細胞集合体が硬組織形成能を有しているかを検討することを目的に、石灰化基質誘導培地を用いて最大50日間の培養を行った。各試料のパラフィン薄切切片を作製し、各種染色により内部構造を観察したところ、ヘマトキシリン・エオジン染色の結果、集合体内部の細胞は細胞核を有しているが、外層の細胞の細胞核が消失していることが明らかとなった。また、von Kossa染色およびdentin sialophosphoproteinの免疫蛍光染色の結果から、細胞集合体の外層で象牙質様の石灰化基質が形成されていることが分かった。 以上のように、ヒト由来歯髄幹細胞を用いて細胞集合体を作製することに成功し、またこの集合体が象牙質/歯髄複合体を構築する機能を有していることが示唆された。
|