2013 Fiscal Year Research-status Report
歯科用ジルコニアセラミックスの内部微小欠陥検出法の開発
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24659868
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
宇尾 基弘 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (20242042)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 諭 長岡技術科学大学, 工学部, 准教授 (20324006)
和田 敬広 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (10632317)
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Keywords | 歯科材料学 / ジルコニア / 微細構造 / 欠陥 |
Research Abstract |
歯科用ジルコニア修復物は加圧焼結された緻密体を切削加工するものと、半焼結体等を加工後に常圧焼結するものの2種類が有り、それぞれ切削加工や焼結過程で表面や内部に欠陥が生じ、それが修復物破折の原因になることが懸念される。特に焼結体に内在する微小欠陥は検出が困難であり、ジルコニアに於ける内在欠陥の寸法、分布などは未知である。 本研究ではジルコニア焼結体の内部欠陥の形状や分布を明らかにし、その信頼性向上に関する知見を得ることを目的としており、本年度は透過X線像による各種ジルコニア試料の内部欠陥の観察を試みた。 対象試験片としては、市販歯科用ジルコニア製品でHIP焼結体を用いるものNanoZR(Panasonic)と半焼結体を用いるもの(Cercon(Degudent))を選択し、これらを通法に従って焼結・加工し、精密切断機で約500ミクロン程度に切断・研磨した円盤状標本を作製した。この試料を透過X線撮像装置にて光学顕微鏡で透過法によって観察を行い、内部欠陥の観察を試みた。加圧焼結した緻密体から加工成形するNanoZRには、透過X線でも欠陥が観察されなかったが、半焼結体を加工・常圧焼結を行うCerconでは数十~100ミクロンを超える欠陥(気泡)が複数観察された。NanoZRの曲げ強度が他の製品に比較して高いことが、この焼結体の緻密さに関連があると示唆された。 またジルコニア表面の水熱劣化についても製品間の相違を検討し、オートクレーブ中での加速劣化試験で、アルミナ添加型のジルコニアで有意に劣化が低く、焼結温度が高くなり結晶粒径が粗大化すると劣化が促進することが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
欠陥観察用ジルコニア試験片の内部欠陥観察手法について、光学顕微鏡及び透過X線イメージングの両手法の有効性を確認できた。 X線マイクロCTによる内部欠陥観察については、極めて高エネルギーのX線源が必要であることが判明し、測定可能な施設が極めて限られるため、引き続き検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
ジルコニア試験片の試料の種類、および試料数を増やして、内部欠陥の観察条件を確立すると共に、ジルコニアの作成条件と欠陥数・形態の関係を調査する。 マイクロCT観察については分析可能条件をより詳細に検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ジルコニアの透過X線撮像について、複数の試料作成と撮影を予定していたが、装置使用の都合により次年度に計測する必要が生じたため、その試料作成に必要な経費を次年度使用額とした。 平成26年度は当初の予定より多くの試料を作成するため、ジルコニア試験片原材料および加工用消耗品に使用する。
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Research Products
(2 results)