2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24659877
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
加藤 功一 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 教授 (50283875)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗原 英見 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 教授 (40161765)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 再生医療 / 間葉系幹細胞 / サイトカイン / スキャホールド / タンパク質アレイ / 骨分化 / タンパク質工学 |
Research Abstract |
歯周組織の再生治療法として、間葉系幹細胞(MSC)を組み合わせた組織工学的手法が注目されている。しかしながら、現在、その治療技術は決して満足できるレベルではない。本研究では、タンパク質工学の技術を利用して、MSCを用いた歯周組織の再生のための足場材料の設計を目的とする。とくに、MSCを用いる歯周組織再生では骨の増成速度を向上させることが最も重要との認識の下、最適な増殖因子を組み込んだ足場材料を開発する。本年度は、MSCによる骨形成を促進する最適な増殖因子カクテルを見出すことを第一の目的として、タンパク質アレイ分析を用いたバイオアッセイに取り組んだ。タンパク質アレイの作製には、各種の増殖因子(bFGF、IGF-1、PDGF、EGF)、ケモカイン(CCL12)神経栄養因子(BDNF、NGF、CNTF、GDNF)を単独あるいはコンビネーションとして一つの基材上に配列固定し、その上でMSCの培養を行った。一定期間(1~3週間)の培養後、分化マーカー(アルカリフォスファターゼ)の発現やカルシウムの沈着(アリザリンレッド染色)についてパラレル分析を行い、細胞の骨分化をもっとも強力に促進する因子の組み合わせ見出すことを試みた。2,3の因子に関して特徴的な結果が得られているが、再現性の高いデータを取得するため、さらに実験を繰り返している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は、タンパク質アレイ分析によって、骨形成を促進する最適な増殖因子カクテルを見出し、その情報を活用して、最適な増殖因子を組み込んだ足場材料を作製することを平成24年度の目標としていた。しかしながら、研究に用いる適切な細胞の選択およびその骨分化条件の設定に手間取り、研究が遅延した。平成24年度の後半になってようやく、タンパク質アレイを用いた分化アッセイを行えるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、タンパク質アレイ法によって骨分化促進因子の探索を引き続き進める。 次に、最適な因子を組込んだ因子複合化ゲルの設計を行う。そのさい、以下の2つの点を実現するため、遺伝子組換え技術および大腸菌発現系を駆使してタンパク質性因子を修飾する。(i) 移植部位において十分な因子濃度を一定期間維持するため、ベースとなるゲル材料(コラーゲンを用いる)に親和性のあるポリペプチド(コラーゲン結合ペプチド)を融合し、因子の急激な消失を防ぐ。(ii) プロテアーゼの作用によって消化・切断を受ける分解性ペプチドを増殖因子とコラーゲン結合ポリペプチドの間に挿入することによって、ゲル内での増殖因子の徐放速度をコントロールする。また、ゲルの分解吸収が骨再生・歯周組織再生と連動して起こることを狙って、コラーゲンへの架橋の導入について検討し、最適な生体内分解速度をもつコラーゲンゲルを作製する。 最後に、因子複合化ゲル内でMSCの三次元培養を行うことによって、開発した足場材料の機能を評価する。すなわち、一定期間培養後の細胞の生存率、増殖性、分化、骨様組織の新生について調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
設備・備品の購入は行わない。物品費はおもに遺伝子組換え、タンパク質発現、細胞培養用、分化アッセイ等に用いる生化学試薬、およびタンパク質アレイの作製や細胞培養等に用いる実験器具などの購入に充てる。また、研究成果発表のための旅費、および、論文投稿・別刷料を計上する。人件費および謝金としての支出は予定していない。
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