2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24659878
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
西村 正宏 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (00294570)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 比呂司 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (40229993)
末廣 史雄 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (40524781)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 骨増生 / 骨膜 / 再生医学 |
Research Abstract |
歯周病や加齢によって吸収した歯槽骨を増生することは義歯安定やインプラント埋入において臨床上極めて強く求められることであるが、口腔内側の骨増生は感染リスクが高く、高度な技術が必要である。本研究の目的は特殊な機器を用いることなく骨膜を保存した状態で閉鎖した空間に細胞/担体複合体を充填することを可能とするため、骨膜を徐々に拳上して骨膜と骨の間にスペースを確保するための材料と方法を検討することである。材料としては生体親和性が高く、既に医療用として承認を受けている素材が臨床的には現実性が高いと考えることから、徐放性製剤のDDS基剤として有用な材料であるポリ乳酸(PLA)の化合物を選定した。 本年度は各ポリマーの種類、プラズマ処理の有無、さらに圧縮率の違いによる材料膨潤率を検討した。ポリマーとして直径9mm程度、PLLA/PLGA比率は75/25で、①分子量22万、ガラス転移点51.3度、②分子量25.4万、ガラス転移点53度の2種類を用意した。それぞれをプラズマ処理、非処理、元の厚みから16%から50%になるよう圧縮を加えた。各材料は通常濃度の10倍量の抗生物質入りのαMEMに浸漬して2か月間経過後、厚みを測定した。その結果圧縮後の状態から最も高い膨張率を示したのは①のポリマーで、プラズマ処理せず、16%に圧縮した材料であった。次いで同じものをプラズマ処理した材料であった。したがって、プラズマ処理は材料の膨潤率を減少させることが示された。高圧縮の材料は圧縮後からの膨潤率は高かったが、圧縮前の厚みから比較すると復元率は低かった。そしていずれの材料も圧縮前よりも厚くなることはなかった。つまり圧縮することで分子構造が破壊されるが、結果として16%程度の圧縮は最も高い膨張率を与えられることが示された。また同じ圧縮率の①と②の材料では、その膨潤率には有意差は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨膜挙上するに必要な各ポリマーは圧縮率が高い方がその後の膨張率も高くなるが、膨潤後の厚みは必ずしも圧縮前からの膨張率とは比例しないことが判明し、今後の材料検討は圧縮後からの膨張率を指標として選定すれば良いことが分かった。またポリマーとしては分子量には依存しないこと、プラズマ処理は行わない方が膨張率が高まることが判明し、材料学的な検討は順調に進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策については、まず動物実験用の膨潤材を準備し、ラットの頭頂骨増生モデルにて骨膜挙上効果を確認する。移植一定期間後に移植部位を含む頭頂骨を採取し、組織学的評価を行う。その組織検体は外注して組織標本を作成する。また間葉系幹細胞培養系にて膨潤材の生体為害性を確認する。具体的には細胞増殖率を測定し、細胞の表面抗原の発現状態に異常がないかを抗原特異的抗体をフローサイトメトリーにて検討する。また膨潤材料の物性については研究分担者に依頼して測定いただくが、その打ち合わせのための旅費も必要となる。 特に、次年度に使用する予定の研究費について以下に具体的に記す。 当初購入予定であった内視鏡はデモンストレーションで骨膜剥離の状態は検討可能であることから、購入の必然性がなくなった一方、研究代表者が大学を異動したことにより、研究を遂行するための研究機器の購入が必要になった。設備機器は大学間で移管したために、新たな購入は必要ないが、移管出来なかった酵素類、細胞表面抗原用鉤体、プラスチック機器類、酵素類等の消耗品は新たに購入する必要がある。また当初は研究代表者が研究分担者と同一機関であったが、研究機関が分かれたため、研究打ち合わせのための旅費が若干増加することになる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品として、酵素類、細胞表面抗原用鉤体、プラスチック機器類、酵素類等動物実験用の動物、骨膜剥離用手術道具を購入予定である。 旅費として、長崎大学の研究分担者と研究打ち合わせのため、九州歯科大学口腔再建リハビリテーション学分野の細川教授からの情報を頂く、日本口腔インプラント学会でも情報を収集する、成果発表を日本再生医療学会で予定しているため等の旅費が必要になる。 また成果発表のために英文論文の校正料が必要となり、動物実験の組織標本作製のための検体外注費、および論文投稿料を使用する予定である。
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