2013 Fiscal Year Annual Research Report
頸部リンパ節転移の治療のためのリンパ行性薬剤投与システムの開発に向けての検討
Project/Area Number |
24659884
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
森 士朗 東北大学, 大学病院, 講師 (80230069)
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Keywords | 口腔癌 / ナノバブル / 超音波 / リンパ節転移 / 動物モデル / 分子導入 / 癌化学療法 / 癌治療 |
Research Abstract |
本研究の目的は、我々が樹立したヒトと同等の大きさにリンパ節が腫大するリンパ節転移モデルマウス(MXH10/Mo/lpr系マウス)を用いることにより検証が可能となったリンパ管を介する癌化学療法の可能性を検討し、より侵襲の少ない口腔癌所属リンパ節転移に対するリンパ行性の癌化学療法の確立を目指すことである。これまで我々は、 リンパ管内に薬剤や実験腫瘍細胞を注入する経路として上流のリンパ節の髄洞が適していることを確認している。また、MXH10/Mo/lpr系マウスの腸骨下リンパ節を上流のリンパ節、腋窩リンパ節を下流のリンパ節として、腸骨下リンパ節の髄洞に蛍光色素を注入し、腸骨下リンパ節の輸出リンパ管から両リンパ節間のリンパ管を介し、腋窩リンパ節の輸入リンパ管へと流れ、腋窩リンパ節内に流入する蛍光色素を蛍光実体顕微鏡で観察し、腸骨下リンパ節の髄洞に留置したカテーテルに圧力トランスデューサーを接続することにより、リンパ管内に注入した薬液の流体力学的特性と動態を検討した。その結果、上流のリンパ節の髄洞内に適正な注入圧と注入量で薬剤を投与すれば、血行性に薬剤を投与した場合に比較し、下流のリンパ節内に少量の投与量であっても非常に高濃度の薬剤を超選択的に投与することが可能であることが明らかとなった。平成25年度においては、ナノ・マイクロマイクロバブルと蛍光色素を腸骨下リンパ節に注入し、超音波画像解析装置を用いて注入した薬剤が腋窩リンパ節に到達した時点で腋窩リンパ節に超音波を照射し、バブルを崩壊させた。その結果、注入した蛍光色素が効率的に腋窩リンパ節のリンパ球を含めた細胞に導入されることが明らかとなった。この結果により、リンパ行性のナノ・マイクロバブルと薬剤の投与および標的リンパ節への超音波照射が、リンパ節転移のための低侵襲治療に有用である可能性が示唆された。
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Research Products
(28 results)