2012 Fiscal Year Research-status Report
口腔癌患者末梢血中の循環ミトコンドリアDNAモニタリングによる予後判定法の開発
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24659885
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
丹沢 秀樹 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50236775)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 博文 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (10595995)
神津 由直 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70400942)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | mitochondrial DNA(mtDNA) / qPCR-HRMA法 |
Research Abstract |
原発巣切除断端陰性と診断されながら再発や転移にいたる症例がある。現行の腫瘍マーカーは早期に再発を予測する事ができないため、近年循環血液中癌由来遊離核酸(CNAs)の検出により微小転移を予測し予後診断に役立てる試みがなされている。しかしCNAsは量的に少なく検出効率に限界がある。本研究では細胞内に核酸DNAの数百倍のコピー数があるミトコンドリアDNA(mtDNA)をターゲットとし、検出感度と特異性向上のために近年開発された高解像度融解曲線分析法(HRMA)を用いて検討を行い、簡便で正確な予後診断法の開発を目的とした。 我々は、先行した研究において口腔癌患者の末梢循環血液中癌由来DNA(circulating tumor-related DNA:ctrDNA)を術前術後について調べ、術前では52%にその存在を確認し、術後4週間経過しても末梢循環血液中に癌由来DNAが検出された4症例は予後不良であった。本研究において口腔癌患者の臨床サンプル(原発巣組織、術前および術後定期採取末梢血)を採取し、抽出・精製したDNAをもとにヒトミトコンドリアDNAの変異の検出を行った。口腔癌細胞株5種類(HSC2,HSC4,Ca9-22,Sa3,H1)とヒト正常口腔粘膜上皮細胞(HNOKs)に関して、ヒトミトコンドリア全ループ領域の塩基配列解析を行い比較したところ、Dループ領域塩基c.68C>T、12S-rRNA領域塩基c.1107A>G、16S-rRNA塩基c.3190T>Cの3領域において塩基置換による変異が認められた。次年度は、前述した3領域以外の他領域における変異の検出を目指すこと、実際の臨床検体を用いてqPCR-HRMA法による変異mtDNA量について検量線を作成し、融解曲線パターンによる変異の検出を解析することにより、口腔癌の予後判定因子としての新規判定法の開発について検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はおおむね計画通りに研究成果を上げており、ヒトミトコンドリア塩基配列における複数領域の塩基置換の同定を行った。次年度では、さらなる変異領域の同定を行うために現在準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度は細胞株における変異パターンの解析より3領域の変異を検出した。臨床研究において診断検査の有用性を検討する手法としてROC曲線(Receiver Operatorating Characteristic curve)がしばしば用いられる。今年度は口腔癌患者の臨床サンプルを用いたヒトミトコンドリア領域における塩基配列解析による変異量を測定し、その変異量からROC曲線を用いて変異領域ごとのカットオフ値を設定し、予後判定法の診断能としての有用性について評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし。
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