2012 Fiscal Year Research-status Report
レーザースペックルを応用した口蓋瘢痕の定量評価法の開発と口蓋裂臨床への応用
Project/Area Number |
24659895
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
三島 克章 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60304317)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 旬之 九州大学, 大学病院, 医員 (60511730)
菅 北斗 山口大学, 医学部附属病院, 医員 (40610621)
梅田 浩嗣 山口大学, 医学部附属病院, 医員 (90610618)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | レーザースペックル / レーザースペックル・フローグラフィ / 口蓋瘢痕 / 血流計測 |
Research Abstract |
レーザースペックルを応用した口蓋の瘢痕を計測する装置を開発し、これを用いた瘢痕の定量化法の確立を目指して開始した研究である。将来的には、この計測法を口蓋裂患者へ応用し、上顎劣成長に対して行われる上顎延長術等の咬合形成を計画する際に、予知性の高い治療計画が立案できるシステム構築と、新しい咬合形成のための治療法の開発と初回口蓋裂手術の改良を目的としたものである。 平成24年度は、レーザースペックルを応用した口蓋粘膜下血流計の開発を目指し、その原理の確認と光学系設計に必要な基礎的実験を行った。まず、レーザダイオードモジュール、レーザビームエクスパンダ、ビームポケット、1/2” CCD カメラ等から構成されるハードウェアと計測ソフトウェアを製作し、良好なスペックルパターンが撮影できることが確認できた。さらに、口腔内に挿入できる大きさを想定して、レーザーの光路を屈曲させることで計測面近くの大きさを縮小する改造を行った。計測ソフトウェアの処理方法は、1秒間30枚のスペックル映像をコンピューターに取り込み、注目画素の時間方向の輝度の微分値をスペックルの時間変動として計算を行うことで速度分布を計測する。 次に、作製した血流計の原理確認を確認するために、簡易なシミュレーション装置を製作した。注射器の先端に透明シリコンチューブを繋ぎ、純水に0.5μmの樹脂粒子を混ぜたものを流して血流を模した。シリコンチューブは動かないように固定して行った。血流速度は、19mm/s、28mm/s、55mm/sの3通りの速度で試験した。その結果、流速に応じて速度分画像が生成され、流体の速度分布が計測できることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
口腔内への応用を試み、その際に問題と予測される唾液のテカリの問題や装置の固定方法等の検討する計画であったが、計測装置の開発とその原理を確認するための実験に時間がかかり、予定通りに進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに開発できた血流計を用いた原理確認実験では、レーザースペックル・フローグラフィ(LSFG)の作成が問題なく行えることが確認できた。平成25年度は、口腔内への応用を試み、その際に問題と予測される、唾液のテカリの問題や、装置の固定方法等の検討・改善し、口蓋裂患者への適応を進めていく。具体的には、上顎プロトラクション前後、上顎骨延長術前後等を計測し、①手術によるLSFG の変化、②実際の上顎移動量とLSFG の関連性、③口蓋粘膜の伸長とLSFG の関連性を検討する。上顎前方移動させる方法を選択する基準や適応時期を設定し、科学的根拠を持った治療計画立案法の提案を目指す。また、瘢痕の状態に基づいて骨延長部位を決定し、予知性の高い新しい上顎延長(移動)方法の提案を目指す。あわせて特許申請を進めていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本血流計を口腔内へ適応するにあたり、予測される問題点である唾液のテカリの問題や装置の固定方法等に対してソフトウエア(プログラム)的に改善を検討している。 最終年度にあたり、研究成果を学会での発表、論文への投稿に対して研究費を使用する予定である。 また、平成24年度に未使用額(12,810円)が生じたのは、血流計の原理確認実験が遅れたため、原理確認に使用する予定であった部材の購入が平成25年度にずれ込んだためである。平成25年度に引き続き原理確認実験を行い、さらに口腔内へ応用できるように改良を進めていく。
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