2012 Fiscal Year Research-status Report
多発性歯牙腫を有している患者における原因因子の検索
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24659906
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
菊入 崇 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (10322819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 善隆 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (30230816)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 歯牙腫 / 歯の発生 / 遺伝子解析 |
Research Abstract |
歯牙腫は、顎骨内に発生する歯牙様硬組織を主体とする歯原性腫瘍で、過誤腫に類似する病変であり、歯牙腫は臨床的には決して珍しい症例ではない。が、しかし、北海道大学病院小児歯科外来において発見した本研究の対象の3症例に関しては、これまで報告されていない極めて珍しい特徴を有した症例群であった。口腔内所見およびレントゲン所見から明らかな特徴的な異常として、顎骨内に多数の歯牙腫を発生しているほかに、全ての歯牙において正常の歯牙とはことなる形態異常を起こしていた。また、3症例すべての患者において口蓋裂を併発していた。研究対象とした3症例における異常所見は、顎骨内において系統的に発生していると推測されることから、歯あるいは顎骨の発生過程に関与している何らかの遺伝子の異常によって引き起こされた可能性を強く疑わせるものであった。本症例における異常(多数の歯牙種の発生・歯の形態異常・口蓋裂の発生)について組織学的解析を行なった。本症例における抜去歯牙に対して、研磨標本および薄切片によって歯牙の構造を検索した所、エナメル質におけるエナメル小柱の異常は見られなかったが、象牙細管の走行に様々な異常が確認された。また、それらの異常に関して候補遺伝子を明らかにするため、CGH array解析および次世代シークエンサーによる大量配列解析による遺伝子解析を行なった。CGH array解析の結果から、研究対象とした3症例において、幾つかの共通した遺伝子においてコピー異常が確認された。さらに候補遺伝子を絞る込むために、次世代シークエンサーによる解析が進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に沿って順調に研究が進んでいる。さらに、今年度は次世代シークエンサーによる解析の結果が明らかになる予定であり、大きな成果を上げられと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究対象とした3症例におけるCGH array解析の結果と現在進行中の次世代シークエンサーによる解析の結果から候補遺伝子を絞る込む予定である。驚くことに、今月さらに新たな症例として、1歳の女児が小児歯科外来を受診した。この子は1歳8ヶ月であるが、まだ乳歯の萌出を認めていなかった。レントゲン所見では、上顎乳中切において、歯冠部のみ形成されたが、明らかに研究対象としている3症例と共通の形態学的特徴を有していた。本症例の経過を長期にわたり記録することで更なる貴重な知見が得られるもと思われる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
歯学研究科の耐震補強工事が行われることになり、動物実験施設もその対象と なり、動物飼育数を一時的に減少させた。研究計画の 遅れはないが、今年度減 少させた動物実験の数を次年度増加することにより、研究費を使用する予定である。
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Research Products
(1 results)