2012 Fiscal Year Research-status Report
若年性歯周炎原因菌に対するアンチセンス法を用いた分子標的治療の開発
Project/Area Number |
24659912
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
星野 倫範 長崎大学, 大学病院, 講師 (00359960)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 若年性歯周炎 / Aggregatibacter / actinomycetemcomitans / アンチセンスPNA / 膜透過型ペプチド |
Research Abstract |
リジン-フェニルアラニン-フェニルアラニンの三回の繰り返し構造の膜透過型ペプチドを付与し、23S rRNAドメインIIを標的としたアンチセンスPNAの設計と構築を行った。しかし、PNAをAggregatibacter actinomycetemcomitans (Aa菌)の細胞内に効率的に導入できず、アンチセンスPNAによる効果を検討できなかった。そのため作製したPNAをそのまま用いてAa菌の細胞内に効率的に導入するための条件を調査している。また、他の配列をもつ膜透過型ペプチドでより効果的にAa菌の細胞内へ効率的に導入出来るものがないかを検討するために、in silicoでの膜透過タンパクの候補を解析した。その結果、ペネトラチンと呼ばれる膜透過型ペプチドではトリプトファンおよび、フェニルアラニン、およびグルタミン残基が鍵となりこれに依存していることが示唆されているので、これらのアミノ酸を含むペプチドモチーフのうち、Aa菌細胞にも適応できるものがないかを検討している。さらに今回は23S rRNAドメインIIを標的としたが、若年性歯周炎を引き起こすAa菌のうち、強毒株として知られているJP2クローン株も当教室では保有していることから、この株の強毒性に関わる因子の発現機構に関与する遺伝子を標的としたアンチセンスPNAの設計も想定して現在実験を進めている。その一方で、これらのin silico解析と併せて、同じく口腔内から分離され、齲蝕の原因菌とされるStreptococcus mutansの病原因子であるグルコシルトランフェラーゼ(Gtf)についても解析し、その過程でGtfをコードするgtf遺伝子の遺伝系統解析を行ったところ、その病原遺伝子の進化に関し、発酵性食品の摂取を介した遺伝子の水平伝播が関与しているという知見が得られ、Scientific Reports誌に報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Aa菌のアンチセンスPNAの取り込みにおいて、膜透過型タンパクの配列、アンチセンスPNAの投与量、溶液組成、pH、温度などに関して、既存の文献にはこれらの情報がほとんど存在しないため、これを手探りで探していかないと行けないため、予定した計画の進行状況よりも遅れていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に作製したアンチセンスPNAを用いて様々条件下での取り込みを検討する一方で、国内・外の研究協力者にも相談し、Aa菌の細胞内に効率的に導入するための膜透過型ペプチドの再設計を行う。また、23S rRNAドメインIIを標的とするだけではなく、Aa菌の強毒株として知られるJP2クローン株の強毒性に関わる因子の発現機構に関与する遺伝子を標的としたアンチセンスPNAの設計も行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
アンチセンスPNAの作製費用を主とし、そのAa菌への取り込み実験を行うための消耗品費を研究費として使用する。また、国内・外の研究協力者との研究打ち合わせ、サンプルの授受、通信に関わる費用として研究費を使用する。
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