2012 Fiscal Year Research-status Report
時期・組織特異的ノックアウトマウスを用いた咀嚼中枢・摂食中枢形成障害の機序解明
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24659913
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
吉田 教明 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (40230750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古賀 義之 長崎大学, 大学病院, 講師 (50175329)
井上 富雄 昭和大学, 歯学部, 教授 (70184760)
内海 大 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (80622604)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 咀嚼中枢 / 嚥下中枢 / 顎運動 / 筋電図 / 咀嚼機能 |
Research Abstract |
咀嚼中枢に限定して、障害を生じさせた咀嚼中枢異常モデルマウスを作製し、咀嚼・嚥下運動の経時的解析を行った。顎口腔機能の生後発達を離乳が開始する4週齢、6週齢、8週齢、10週齢の4群に分け、ペレット(硬い食品)、パン(軟らかい食品)摂取時の、咀嚼運動、嚥下運動および筋電図を測定した。また、実験動物用3DマイクロCT(R_mCT:リガク社製)の透視モードイメージングにより、嚥下造影(VF)を行った。全行程のビデオ・レントゲン撮影を行うことにより、咀嚼・嚥下時の食塊、舌、咽頭、喉頭の運動を同時に計測した。 咀嚼中枢異常モデルマウスでは、健常マウスと比較して、不安定な咀嚼運動軌跡が観察された。計測システム装着後、計測を重ねる毎に、次第に正常な咀嚼運動に回復する傾向がみられたが、正常マウスのような安定した咀嚼運動は得られず、咀嚼中枢(Masticatory Central Pattern Generator)における咀嚼リズムの形成に異常が生じた可能性が示唆された。 嚥下時の顎舌協調運動においても、健常マウスと比べて、関連筋の活動のタイミングに大きなばらつきがみられた。筋活動も小さく、咀嚼筋等の形態的な発育の遅延による可能性も示唆され、強縮時の筋収縮力の低下や筋線維タイプ構成比の変化などの末梢器官の成長変化が生じた可能性も考えられた。 咀嚼リズムについては、正常マウスと差がなく、極めてリズミカルな咀嚼運動が観察された。また、異常な顎運動が記録されたのは、不正咬合が発現することによる、2次的な影響による可能性が排除できないため、3DマイクロCTの画像データを解析し、骨形態の変化の検証など今後のさらなる観察が必要と思われた。 次の段階では、咀嚼・嚥下機能の生後発達の過程や成育段階の中で、障害を受けやすい中枢部位を探り、咀嚼・嚥下機能障害の発生機序を明らかにしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
咀嚼中枢異常モデルマウスを用いた、咀嚼・嚥下時の顎運動・舌運動計測・筋電図計測による基本的なデータは順調に得られており、健常マウスと比較するための計測項目は網羅されている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度には、顎口腔機能の基本的なパラメータの解析が終了したため、本年度は、咀嚼・嚥下機能の生後発達の過程や成育段階の中で、障害を受けやすい中枢部位を探り、咀嚼・嚥下機能障害の発生機序を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の予定通り、動物実験に必用な実験動物、計測に必用な電子・機械部品などの物品費の使用が主体となる。
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Research Products
(9 results)