2012 Fiscal Year Research-status Report
小児の精神的長期ストレスをモニターする唾液microRNAの同定
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24659919
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
前田 伸子 鶴見大学, 歯学部, 教授 (10148067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 朋子 鶴見大学, 歯学部, 准教授 (50233101)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 精神的ストレス / 小児ストレス応答 / う蝕 / 口腔環境 / 唾液 |
Research Abstract |
本研究は小児の精神的ストレスを短時間で正確かつ非侵襲的に把握する方策を見いだすことを目的とし、ストレス診断のためのバイオマーカーとして唾液中に分泌されるmicroRNAを見いだすことである。平成24年度の実施状況は以下のような概要である。 1.被験者の選定:小学校児童1年生ー5年生の200名を対象とした。そのうち複雑な家庭環境や不登校など、第3者的にみて問題を抱える児童が約27%含んでおり、担当教員の協力のもと、ストレス環境が顕著な児童30名をストレス群とし、家庭環境および言動が安定的な児童30名をコントロール群とした。 2.口腔疾患および口腔環境調査:う蝕経験歯数(DFT)と唾液中のう蝕関連微生物(ミュータンスレンサ球菌、ラクトバシラス菌、カンジダ菌)の培養検査、唾液分泌量および緩衝を測定しそれぞれ2群間で比較した。DFTはストレス群がコントロール群の2倍程度高かったが、微生物検査と唾液分泌量および緩衝能の測定結果には差がなく、相関がみられなかった。 3.ストレス評価:DSS-K健康調査票を用い、2群間の比較を行ったところ、ストレッサー、ストレス反応、自己効力感ともにわずかに差が認められた。 4.唾液ストレスタンパク質として報告されているクロモグラニンA(CgA)をELISAで測定し、2群間で比較した。平均値ではストレス群の方が約2倍の高値を示したが、ばらつきが大きいため有意差は認められなかった。 5.唾液microRNA抽出・精製方法の確立:被験者の唾液からエキソソーム分画を分離し、microRNAを抽出・精製手法を検討した。初期変性条件を改変することで、エキソソーム分画ステップを経由せずに精製できる条件を確立した。その判定基準として、安定的に存在するmicroRNAを見いだし、リアルタイムPCRにより定量を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施の概要に記載したように、年度当初に5項目について実施する研究計画を立てた。それに従っておおむね進行し、各項目の結果が十分に得られたので、順調と判断した。特に、血液以外からの被験サンプルからmicroRNAを採取・精製・解析している報告はほとんど見当たらず、非侵襲性のサンプルで測定できる意義は大きいと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度の成果を踏まえ、25年度は以下の検討を行う。 1.唾液microRNA精製と発現解析:ストレス群とコントロール群の発現プロファイルをマイクロアレイなどで網羅的に検出し、発現に差のあるmicroRNAを同定し、バイオマーカー候補とする。 2.新たな集団でバイオマーカー候補の検証を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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