2013 Fiscal Year Annual Research Report
歯・インプラント体表面から超音波粒子加速度を応用したバイオフィルムの除去
Project/Area Number |
24659927
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
滝口 尚 昭和大学, 歯学部, 講師 (60317576)
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Keywords | バイオフィルム / 加速度 / チタン |
Research Abstract |
本研究では、歯、インプラント体表面のプラーク除去を目的に、電子工業分野で半導体基板に付着した微細な汚れを除去するため用いられている、超音波粒子加速度を応用した「流水式超音波洗浄装置」の技術を生体へ技術活用し、ミクロなレベルで微生物除去が可能で、薬剤を一切使用しない、洗浄効果の高い、「流水式超音波口腔清掃器」の研究開発を行った。研究計画では、以下のことを検討した。1、流水式超音波照射がインプラント体の表面性状に及ぼす影響。2、インプラントに付着したバイオフィルムが流水式超音波照射技術により除去が可能かどうか。3、ヒト口腔内での効果と組織安全性の評価を行った。 その結果、インプラント試験片および天然歯(抜去歯)を用いて表面性状への影響をEDXを用いて評価した結果、全ての試験片において、表面性状の変化は観察されず、元素分析においても変化は観察されなかった。また、インプラントに付着したバイオフィルムの除去効果を評価すると、流水式超音波を3分間作用させると、術前に100%付着しているバイオフィルムが、術後約20%に減少し、この試験片をSEM像で観察すると、細菌はほぼ観察されなかった。さらに、開発した流水式超音波口腔清掃器を用いて、ヒト口腔内でバイオフィルムの除去効果を評価すると、下顎前歯部に60秒間作用させると、約60%のバイオフィルムが除去されることを確認した。開発した流水式超音波口腔清掃器は、薬剤を用いず、使用する水分子を加速させることでバイオフィルム除去が可能で、またインプラント粗面に対しても表面性状を変化させる危険性もないことが確認された。以上のことから、本洗浄方法は、既存の清掃方法では難しい部位等を補う目的で期待される。
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