2012 Fiscal Year Research-status Report
活性酸素由来の殺菌能を有する高分子体を応用した固体化殺菌剤の開発
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24659930
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
水野 守道 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (10125354)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | ナノファイバー / 活性酸素 / ヒドロキシラジカル |
Research Abstract |
本研究は活性酸素の殺菌能を保持する高分子化合物から構成される固体化殺菌剤を開発し,この殺菌剤を応用したブラッシング二代わる新しい口腔内清掃システムを構築しようとするものである。 活性酸素の殺菌能を安定的に保持するための高分子化合物として本研究ではアミノ酸から構成されるナノファイバーを利用することを目指した。その理由はナノファイバーは親水性アミノ酸と疎水性アミノ酸か交互に配置する構造を有し、かつ両親媒性を示すため生理的イオン強度下で安定な3次元構造を有する凝集体となり活性酸素の保持に有利であると考えられたためである。さらに活性酸素と反応あるいは活性酸素によりラジカル化する側鎖を持つアミノ酸を合成することができれば活性酸素の殺菌能を長期間有するナノファイバーを作製することも可能になるとも推定された。 そこで本研究ではまずラジカルな活性酸素と反応性のある化学物質の検索を行った。その結果5,5-dimethyl-1-pyroline-N-oxide(DMPO)が効果的に活性酸素と結合することが確認されたので、DMPDと類似した化学構造を有しているヒスチジンに種々化学修飾を施し活性酸素との結合性を調べたが、明らかな効果は認められなかった。そこで次善の策としてヒスチジンが連続したナノファイバーを合成して活性酸素との結合性を検討した。これはヒスチジン単独でも活性酸素との結合性が認められたためで、ヒスチジン分子を連続させることで活性酸素との結合が有意に増加することが期待された故である。しかし合成したナノファイバーは活性酸素との結合は認められたものの、活性酸素を想定した期間保持することはできなかった。 そのため研究計画を見直してナノファイバーに代わる新規な高分子化合物の探索を行い、糖重合体が活性酸素の保持に有効であることを見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究で使用を予定していたナノファイバーの効果が想定とは異なり期待した程の活性酸素保持能が得られず、新しい高分子素材の探索を余儀なくされたため、研究の遂行が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度で活性酸素を保持する高分子化合物として糖重合体が有望であることが認められたので、次年度では活性酸素を保持するために最適な糖重合体の合成、並びに糖重合体の活性酸素保持能を高める作用を有する添加物の探索を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究で使用を予定していたナノファイバーの効果が想定とは異なり期待した程の活性酸素保持能が得られなかったため、新しい高分子素材の開発が必要となった。 次年度では様々な糖重合体を合成するための原材料費や添加物合成のための薬品の購入が必要となる。 また情報収集、研究結果発表のための旅費も必要となる。
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