2012 Fiscal Year Research-status Report
看護職専門の外部EAP機関設立を目指した看護職のメンタルヘルスケアプログラム開発
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24659944
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
渡邊 岸子 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (10201170)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | メンタルヘルスケア / 看護職 / 外部EAP機関 / プログラム開発 / ホリスティックケア / スピリチュアルケア / カウンセリング / コンサルテーション |
Research Abstract |
看護職専門の外部EAP機関設立を目指した「看護職特有のメンタルヘルスケアプログラム開発」の研究活動について、基礎的研究チームと実践的研究チームの実績に分けて報告する。 基礎的研究については、「看護師の感情労働」と「看護職の職業適応過程とレジリエンス」の研究が終了し、成果の発表の準備中である。「看護師の共感疲労」と「看護師の自律性」については、データの収集を終了し分析を行なっている。「看護職のスピリチュアルペインとそのケア」についての介入研究の一つは、倫理審査を終え、介入の実施とそのデータの収集を開始している。また、新たに加えた、コラージュを用いた介入研究については、研究計画の立案を開始している。 実践的研究については、「骨盤ケア」「アロマセラピー」「笑いヨガ」「夢地図づくり」について、標準的実施方法・評価方法の検討を進めている。また、「市民と語る死生観の講座」の開講準備が終了し、実施に向けて、受講者を募集している。「カウンセリング」と「コンサルテーション」については、相談システムの構築を進めている。これまでの実践内容を整理・分析し、相談部門の常設に向けて検討している。 これまでの実践および研究の成果については、日本カウンセリング学会第45回大会でのシンポジウム「医療・福祉職のコンサルテーション活用の課題」で報告した。また、新潟看護ケア研究学会第4回学術集会に「身体と心と社会的繋がりの回復を目指した看護職のための支援講座の実践報告」と「夢地図づくりを活用したワーク・ライフバランス研修の実践報告」の2題の演題発表を行なった。 本プログラム開発の冊子作成については、プログラム開発の目的、活動の経緯、活動内容、成果、今後の見通し、プログラムの内容とその活用方法、公開講座と個別面接・個別ケアの紹介等について記載した内容を準備中であり、関係機関に配布を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究の目的」には、看護職特有のメンタルヘルスケアプログラムには、身体からの働きかけや、環境とのかかわり、生き方にかかわるスピリチュアルな側面等とのつながりとバランスの回復・維持するホリスティックケアの考え方が必要であると記載した。世界保健機関(WHO)の健康の定義においても、身体的・精神的・社会的に加えて、「spiritual」を加えるという議論がされている。本プログラム開発の独自性は、看護職の生き方にかかわるスピリチュアルな側面を含むプログラムを研究と実践から開発しようとしている点である。現段階では、次のようなプログラムの構成となっている。 1.身体的ケア:骨盤ケア,アロマセラピー,笑いヨガ,マッサージ,動作法,等、2.精神的ケア:様々なカウンセリング,コーチング,リラクセーション法,等、3.社会的ケア:ワークライフバランス,コンサルテーション,子育て・介護・家族の相談,等、4.スピリチュアルケア:市民と語る死生観の講座,看護職自身が死生観を語る療法,コラージュを用いたケア,等 プログラムの提供については、集団を対象にするものと、個別の対応をするものがある。集団の場合は、センター主催の公開講座・研修会、組織(病院・事業所・病棟等)からの依頼による出張講座・研修会、等がある。個別の対応については、来所および施設等への出張による個別の相談・個別のケア、等である。これらのプログラム開発の根拠となる実施によるデータの分析と基礎的研究を併せて行なっている。 基礎的研究と実践的研究から、プログラムの内容については、概ね準備がされつつある。今後は、平成25年6月~9月の4回にわたり、佐渡市の後援を得て「市民と語る死生観の講座」を開催予定である。また、別途9月~12月の4回にわたり、公開講座の準備を進めている。これらのことから、概ね平成24年度の研究目的に添って進めているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
看護職特有のメンタルヘルスケアプログラムの一つとして、看護職のスピリチュアルケアの介入研究を行う。①市民と語る死生観の講座の開催(佐渡市)、②看護師のディグニティ・セラピーの実施、③コラージュ療法を用いたスピリチュアルケアの研究をもとに、スビリチュアルケアの標準的介入方法を開発する。看護職の身体的・精神的・社会的ケアの各介入方法については、看護職を対象に公開講座を行ない、評価・修正し、標準的介入方法を作成する。笑いヨガ、アロマセラピー、骨盤ケア、動作法、コーチング、ワーク・ラフバランス、等である。 カウンセリング(精神的ケア)とコンサルテーション(社会的ケア)の相談活動については、相談システム構築と実践力のある相談員養成、メッセンジャーナース協会との連携によるメッセンジャーナース養成の支援等を行う。特に、相談活動は、研修会の開催と共に、不可欠な活動であることから、常時相談を受けられる体制づくりに努め、プログラムを作成する。。 これらの研究成果については、看護職特有のメンタルヘルスケアプログラムの冊子を作成し、新潟県内の各施設に配布するとともに、公開シンポジウムを開催し、広く周知する。その上で、新潟県内各施設を訪問し、看護部長等にプログラムについて説明し、活用について紹介する。また、学会発表および学術誌への投稿を行う。 平成26年度には外部EAP機関としての形式を用いて、モデル事業を行う。数か所のモデル病院と契約し、当該施設向けの研修会開催と個別相談の受託を組み合せて実践研究を行う。その成果を評価・修正して、平成27年度以降には、新潟県内において広く活動を開始することを目指す。そのためには、組織づくり、他機関との連携の体制づくりに取り組む。特に、起業・経営については、コンサルタントを依頼して実現可能な計画を推進する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.看護職のスピリチュアルケアの介入研究の①市民と語る死生観の講座4回開催(佐渡市)、②看護師へのディグニティセラピーの介入研究の実施、③コラージュ療法の介入研究については、旅費・交通費、研究対象者への謝金、会場使用料、データ収集・整理・分析謝金、図書・文献費、講師謝金、等に使用する。 2.看護職の身体的・精神的・社会的ケアの標準的技法作成のための公開講座の開催については、講師謝金・旅費・交通費、会場使用料、開催案内の印刷・各施設等への発送費、講座で使用する材料費・文房具、データ収集・整理・分析謝金、等に使用する。 3.カウンセリング、コンサルテーション等の相談活動のシステム構築については、相談室借用料、相談員への謝金・交通費、電話契約料・使用料、各種記録様式の作成費、他施設見学の旅費・交通費、講師謝金、等に使用する。 4.看護師特有のメルンタルヘルスケアプログラムの紹介冊子(第1版)の作成・配付とホームページの開設については、印刷費、編集・デザイン費、関連施設・個人への発送費、印刷用紙・封筒、打ち合わせ旅費・交通費、ホームページ作成ソフト購入費・登録料・作成依頼謝金、等に使用する。また、成果の公表については、学会参加費・旅費・交通費、図書・文献費、学術誌への投稿料、打ち合わせ旅費・交通費、等に使用する。 5.各種介入技法についての研修講座の受講(研究代表者、研究協力者、相談員)については、研修講座受講料・参加費、旅費・交通費、資料・図書・文献費、等に使用する。また、外部EAP機関としての起業の学習会・企画会議については、コンサルタントへの謝金・旅費・交通費、各種研修会受講費・旅費・交通費、他会社の見学旅費・交通費、打ち合わせ会議旅費・交通費、等に使用する。
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Research Products
(3 results)