2013 Fiscal Year Research-status Report
めまい症状の多次元モデル分析に基づく「めまい」のフィジカルアセスメント技法の開発
Project/Area Number |
24659948
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
深井 喜代子 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (70104809)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北脇 知己 岡山大学, 保健学研究科, 准教授 (40362959)
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Keywords | めまい / 平衡感覚認知 / フィジカルアセスメント / アセスメント技術 / 多次元モデル分析 |
Research Abstract |
平成25年度は、昨年度行った「めまい」の実態調査(Web調査)の解析と、重心動揺計(家庭用健康計測機器Wii-Fitを改良したもの)のコンピュータ化(出力をblue-tooth搭載コンピュータに取り込んでデータ解析できるようにした)、及び「めまい反応」の予備実験を試行した。成果の概要は以下のようである。 めまい症状の特徴:平成24年に実施したWeb踏査で、何らかの医学的対応が必要な人が約1割いることが分かった。一方で、めまいは予兆の少ない一過性の症状であるが、繰り返し起こることから、日常生活の入念な観察とフィジカルアセスメント、また重心動揺などの多次元的な情報を解析することによって、めまい発生のトリガーを探求できる可能性が示唆された。 めまい時の重心動揺計測の試行(プロトコル作成のための予備実験):健常者に回転椅子の回転でめまい症状を誘発し、その前後でロンベルグ試験の姿勢での重心動揺計測を行った。その結果、自前の機器がスムーズに作動し、データ収集効率もよいことを確認した。また、誘発しためまい症状は個人差が大きいこと、めまい症状やめまい反応には「慣れ」「学習」が生じる可能性があることが推測された。さらに、めまい発生時には心理的動揺や、筋緊張に大きな変化が生じることから、本実験では、重心動揺計測の他にフィジカルアセスメント、めまい症状と日常生活全般に関する問診、いくつかの心理テスト、さらには心電図や筋電図も併せて計測し、めまい症状の多次元的分析を行う、当初の研究計画の妥当性が確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度は、事情により申請時予定していた企業からの協力(重心動揺計と分析ソフトを借用予定であった)を断念したために、自前で低コストの身体バランス測定機器を準備することになったが(市販のWii-Fitを利用した重心動揺計測機器の作成と、PCへのデータ取り込み(研究分担者の北脇が担当))、この行程に長期間を要した。そのため、年度内は機器調整とプレテストに終わり、本格的データ収集に至らなかった。しかし、最終年度の26年度は上半期からデータ収集が可能になり、研究が進展する見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は研究課題細目毎に倫理審査申請し、承認を得て、データ収集を開始する。申請段階より研究組織と研究経費が低減したことから、研究目標を申請段階より低くし、健常者を対象とした実験的アプローチを主に研究を遂行する。慢性的に「めまい症状」のある患者を対象とした「めまいとその関連項目の測定・観察研究」については、研究期間を考慮し、事例レベルで追求する。 健常者の平衡感覚認知要素の組織的測定方法の検討:昨年度に自前で準備・調整した重心動揺計を使用し、健康者(15名程度)を対象に、めまい誘発動作(回転椅子による身体回転)の前後にロンベルグ試験を実施する。計測項目は1)重心動揺、2)視覚・皮膚感覚のフィジカルアセスメント、3)心電図、4)四肢体幹の筋電図、4)身体認識(問診)、5)STAI・POMS短縮版による心理状態の評価を実施する。また、回転椅子による一過性の「めまい」を繰り返し実施して、「めまい」と「慣れ」との関係についても追求する。 めまい症状のある患者の多次元的アセスメント:慢性的なめまい症状のある患者の心身の状態を、1の手法を用いて問診・測定・観察し、分析する。突発的に起こるめまい症状を予測することを目指して、ケースクロスオーバーデザインによるデータ収集も試行する。 「めまい度」指標の検討:上記の方法で得たデータの解析から、「めまい度」を判断する指標を検討し、「めまい」の系統的アセスメント技法開発のエビデンスを構築する。 研究成果の公表:年度内、または次年度に、これらの研究成果を国内外の学会及びジャーナルで発表、またはその準備を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は重心動揺計(データ取り込みPC含む)を3機が同時に使えるように3セット準備したが(研究分担者の北脇が主に担当)、自前でセットアップを行ったために比較的安価で済んだ結果、約300,000円の未使用額が生じた形となった。 平成26年度は、最終年度であり、精力的に研究を遂行することから、残額を含め約1,000,000円を研究に使用できることはむしろ好都合である。使途は、実験消耗品 約150,000円、国内旅費約 100,000円、ホームページ更新費 約150,000円、英文校正費 約100,000円、コンピュータ周辺機器及びソフト 約250,000円、アルバイト謝金 約200,000円、とする計画である。
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