2013 Fiscal Year Annual Research Report
災害サイクル別障害者用健康ニード査定の国際基準の開発
Project/Area Number |
24659961
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
山本 あい子 兵庫県立大学, 付置研究所, 教授 (80182608)
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Keywords | 災害 / 障がい者 / ICF / 災害サイクル / ニーズ査定 |
Research Abstract |
研究目的は、障害者の災害サイクルに応じた健康ニード査定のためのアジア基準の構築であった。今年は事例研究による災害サイクル時期毎の障害者健康ニード査定基準の構築を目指した。文献による項目抽出と国際生活機能分類(ICF)から、被災状況、健康状態、コミュニケーションや移動、自立的生活を送るニーズ、医療ニーズ等の半構成的質問項目を用いた。研究協力者は、過去に災害を経験した肢体不自由者とし、被災障害者支援団体を通して研究参加を呼び掛け、3名の協力を得た。東日本大震災を経験した日本人2名は、災害急性期において、排泄や食事あるいは体調管理に関するセルフケアレベルの低下や必要な物の入手困難がみられた。また支援者の不在やライフラインの不通は、外出自体や避難所への移動を難しくしていたが、発災数日中に親族や支援者により、家での生活や被災地外への避難が可能となった。避難所でも家でも、支援者や周囲への遠慮から、支援要請を言い出せない状況もみられた。ICF に含まれない項目として、災害急性期に情報入手の困難さがあり、危険な状態で過ごす、状況把握ができない等が見られた。災害後長期の時点では、災害への備えに関する公共サービス整備ニーズ(安否確認、避難支援、備蓄等)が述べられた。日本人に加え、中国四川大震災を経験した中国人1名は、地震により脊髄損傷を受け、ボランティアにより病院に搬送され、現在も入院中の事例である。入院当初、家族と話したいと希望し、心理カウンセラーと話すことができ助かったと述べた。災害後の長期には、友人との交流に制限があることから交流のニーズや、退院後の仕事獲得へのニーズ、また自立した生活を送りたいというニーズが述べられた。両国において研究協力者を得ることに困難はあったが、事例から見ると、急性期はICFの生活と活動は査定基準となり、さらに情報入手手段等を新たな基準として追加する必要がある。
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