2013 Fiscal Year Research-status Report
インドネシア人看護師の日常生活援助技術の習得度-日本における看護との比較-
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24659965
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Research Institution | Miyazaki Prefectual Nursing University |
Principal Investigator |
小笠原 広実 宮崎県立看護大学, 看護学部, 准教授 (70318153)
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Keywords | EPA看護師 / インドネシアの看護教育 / 生活援助看護技術 / 異文化による視点の違い |
Research Abstract |
1年目の調査で得た成果を、第33回日本看護科学学会学術集会(異文化による看護技術教育の相違に関する一考察-EPA来日予定のインドネシア人看護師の看護技術習得度-および看護雑誌「看護実践の科学」Vol38,No11, 2013(インドネシアにおける日常生活援助の看護技術教育 異文化の中での看護実践上の困難さをとらえるために)にて発表した。また、現地調査に協力を得ているJIAECの会報に報告、ホームページにも掲載することにより、関係者への発信を行った。 調査の過程で、インドネシアの看護師の看護技術について、基本的な教育内容は日本と差異がないものの、患者への関わり方、向き合う時の認識が異なり、医学的な視点に偏っていて看護的な見つめ方がなされていないのではないかという傾向を捉えられたので、これらの相違を明らかにできるように2年目の計画を立てて進めた。2年目の第1回調査では、<看護の自己評価の視点>に関する調査票を作成し、実施した。量的質的な分析を加え、発表準備を進めている。文化の違いが、直接ケアの質に関係すると思われる日常生活援助技術の中から、インドネシア看護師が体験していないと思われる事例を選定し、グループワークを行い、インドネシア語での発表討議を実施した。このなかで、看護師たちのアセスメント能力(できているところ、日本とのとらえ方の違い)をとらえることができた。第2回目調査では、新たな看護師を対象に、「高齢者への日本の医療と精神看護」「看護理論をもとにした看護実践」のテーマでセミナーを実施し、その教育効果について検証を行った。参加者は、各16名であった。 現地でのセミナーでの討議をとおして、日本の看護と何が違うのか、また日本で看護・介護をするときに、何が分からないと困難になるのかが少しずつ明らかになってきている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1年目に、調査票による調査とインタビューを行なうよりも、セミナーの中で意見交換を行い、看護師の看護観を引き出すことが効果的であることが明らかになったので、2年目には、研究方法を素早く修正することができた。 早い段階で、学会発表を行ったことにより、他の研究者とのネットワークも作ることができ、より情報収集しやすい状況になった。 インドネシア現地においても、関心を持って協力してくれる大学が見つかったので、看護師、学生の看護への意識を知るためのデータを得ることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの調査において、日本で看護・介護していくときに知っておく必要のある文化や生活習慣の違い、日本人高齢者の意識の違いなどのポイントが上がってきているので、3年目にはこれらをもとにテキスト、または研修プログラムを作成し、試験的に実施して効果と改善点を明らかにしていく。 さらに、2年目2回目の調査の分析を進め、精神症状を持つ高齢者のとらえ方にどのような意識の違いや知識の違いがあるのかを明らかにし、指導が必要な内容を抽出する。これを、新たなプログラム作成に活かしていく方向である。 実践に活用していくために、本研究の成果を発信する場の開拓にも努める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
出張旅費(航空券費用)が、当初予定よりも安い金額だったため 3年目となり、国内においても調査研究の結果をできるだけ発信していきたいので、その旅費と資料作成などに使用予定である。
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