2012 Fiscal Year Research-status Report
炎症性腸疾患とともに生きる患者が“無理はしない“療養法を獲得するプロセス
Project/Area Number |
24659991
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
藪下 八重 大阪府立大学, 看護学部, 准教授 (60290483)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 炎症性腸疾患 / 無理はしない / 療養法 / グラウンデッド・セオリー・アプローチ |
Research Abstract |
炎症性腸疾患(IBD)患者が、日々の療養生活において悪化を避けるために自分に合った“無理はしない”という療養法を獲得するプロセスを明らかにすることを目的に、平成24年度は、文献検討が中心となった。文献的に概念の検討を行い、質的研究の研究計画を精練、グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いたデータ収集・分析の準備を整えた。 文献検討では、国内の医療・看護に関する文献や他の慢性疾患、IBD患者の療養状況に関する先行研究から「無理はしない」や「無理」の要素を抽出し、それらの要素をもとに、本研究における「無理はしない」「無理」の定義を検討した。IBD患者の「無理はしない」を明らかにすることをめざす本研究においては、研究プロセスの中で再定義が必要となる可能ももつが、まず文献検討の結果において明確化しておく必要があった。さらに、その定義に基づいて、「無理はしない」に関するデータを収集するためのインタビューガイドを作成した。 グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いたデータ収集・分析の準備として、まず、A大学の研究倫理審査を受審し承認を得た。その後、研究者が関わる患者会や関連する医療機関に交渉し、データ収集のフィールドとして研究協力の内諾を得た段階にある(現在、B医療施設の倫理審査申請中)。それらの準備と並行して、インタビューという研究方法における信頼性と妥当性の確保、目的に適ったデータ収集のために、プレインタビューを実施している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
文献検討と並行し、平成24年度の6月頃よりデータ収集を開始予定であったが、平成25年度からのデータ収集となった。1年近くデータ収集の開始が遅れた理由として、「無理はしない」に関する文献検討およびIBD患者の療養の状況に関する文献検討に時間を要し、その結果、用語の定義も含めた研究計画書の再考にさらに時間を要した状況がある。研究計画書を再考したことで、研究倫理審査受審が遅れ、さらにデータ収集のフィールドとなる医療機関の平成24年度内の受審のタイミングを逃す結果となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.データ収集:医療機関の研究倫理委員会の承認(現在受審申請中)を得て、インタビューによるデータ収集を研究計画に則って最初の1例より開始する。 2.データ分析:1例のデータをスーパーバイズを得ながら分析し、理論的サンプリングで次の対象者を選定、協力を依頼しインタビューによるデータ収集を行う。 3.理論的サンプリングおよび2回目のインタビューと継続比較分析を、少なくとも1~2回/月のペースで繰り返す。インタビューの日時は対象者の都合を優先し決定するため不定期になるが、分析は定期的にスーパーバイズを得て進める。グラウンデッド・セオリー・アプローチとして理論的飽和をめざすため、データ収集の終了時期を最初に規定できないが、平成26年3月末を目処とする。 4.文献および関連学会・事例研究会等からも情報を収集し、「無理はしない」に関連する現象を検討し、分析に活用する。 5.成果報告書の作成:データ収集の開始が約1年遅れているため、交付申請時の計画で1月~3月に予定していた成果報告書の作成も遅れる可能性があるが、できるだけ早期をめざす。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.データ収集、データ分析およびスーパーバイズを得るための経費:国内旅費(交通費)、謝金、その他(通信費) 2.データ処理およびデータ保管に関する経費:人件費(テープ起こし、データ入力、資料整理)、消耗品費(文具、データ保管メディア、トナー、謝品、電池類等)、設備費(コピーボード、データ保管庫等) 3.情報を得るための経費:消耗品費(図書・文献)、国内旅費(研究会および学会参加交通費)、その他(文献複写、英文献翻訳、学会・研究会参加費、会議費等)
|