2013 Fiscal Year Research-status Report
炎症性腸疾患とともに生きる患者が“無理はしない“療養法を獲得するプロセス
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24659991
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
藪下 八重 大阪府立大学, 看護学部, 准教授 (60290483)
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Keywords | 炎症性腸疾患患者 / 無理はしない / グラウンデッド・セオリー・アプローチ / 慢性疾患看護 |
Research Abstract |
炎症性腸疾患(IBD)患者が日々の療養生活において悪化を避けるために自分に合った“無理はしない”という療養法を獲得するプロセスを明らかにすることを目的に、平成25年度は、グラウンデッド・セオリー・アプローチに基づくデータ収集・分析を開始した。 まず、平成24年度末に倫理審査申請中であったB医療施設の倫理審査委員会を受審し、承認を得ることができた。B医療施設は、データ収集フィールドである患者会の事務局があり、対象者の選択も協力を得て、患者会を中心にスムーズに進めることができた。 データ収集については、データの信頼性・妥当性を確保し目的に適ったデータ収集とするために、プレインタビューを実施し、その結果を分析・評価した後に、本インタビューを実施した。グラウンデッド・セオリー・アプローチでは、データ収集(半構成的インタビュー)とともにコード化・カテゴリー化をしながら継続比較分析を行うため、現在3人のデータ収集と分析を行った段階である。うち1人については、インタビュー内容を掘り下げ、体験の詳細を得るために2回目のインタビューも実施した。データ分析(解釈・意味づけ)に際しては、質的研究の専門家にスーパーバイズを得ながら、丁寧に分析を進めている。 研究目的である“無理はしない”に関する理論の生成をめざし理論的サンプリングを行っていく際に、IBD患者の研究協力の得やすさやデータ収集時の信頼性・妥当性の確保の観点から、研究協力者との関係性を構築しておくことが重要であり、平成25年度も患者会への参加およびサポートを継続した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成24年度の6月頃よりデータ収集を開始予定であったが、平成25年度からのデータ収集となった。1年近くデータ収集の開始が遅れた理由として、「無理はしない」等の文献検討に時間を要し、用語の定義も含めた研究計画書の再考にさらに時間を要した状況がある。研究計画書を再考したことで、研究倫理審査受審が遅れ、さらにデータ収集のフィールドとなる医療機関の受審が平成25年度となった。 平成25年5月よりデータ収集を開始したが、時間的制約からコード化・カテゴリー化が進まず、データ分析が滞った。
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Strategy for Future Research Activity |
1.データ収集:現在得ている3例のデータおよび分析結果を基に、さらに理論的サンプリングで次の対象者を選定、協力を依頼し半構成的インタビューによるデータ収集を行う。音声データのデータ入力はすべて外注する。 2.データ分析:定期的にスーパーバイズを得ながら、コード化・カテゴリー化を行い、継続比較分析を進める。 3.理論的サンプリングおよび2回目のインタビュー、継続比較分析を、少なくとも1~2回/月のペースで繰り返す。インタビューの日時は対象者の都合を優先し決定するため不定期になるが、分析は集中できる時間を確保し、定期的にスーパーバイズを得て進める。グラウンデッド・セオリー・ アプローチとして理論的飽和をめざすため、データ収集の終了時期を最初に規定できないが、平成27年3月末を目処とする。 4.文献および関連学会・事例研究会等からも情報を収集し、「無理はしない」に関連する現象を検討し、分析に活用する。 5.成果報告書の作成:データ収集の開始が約1年遅れ、さらに分析が遅れているため、成果報告書の作成も遅れる可能性があるが、できるだけ早期をめざす。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度が最終年であり、データ収集・分析やデータ管理、成果報告書(論文)作成等の経費として予定していたが、データ分析が滞り使用できない状況となった。 以下の事項での経費使用を優先的に検討、執行する。 1.データの入力・処理のための業者委託および非常勤雇用(人件費・謝金) 2.英文献翻訳(その他) 3.インタビューおよびスーパーバイズ、情報を得るための交通費(旅費) 4.データ管理のための物品(消耗品) 5.作業効率をアップするためのPC等の機器購入(設備備品)
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