2014 Fiscal Year Research-status Report
大量化学療法を受ける小児がん患者の皮膚防護機能に基づいたスキンケア看護指標作成
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24659998
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
前田 留美 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 特任講師 (60341971)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 小児がん / 造血幹細胞移植 / GVHD / 皮膚障害 / 看護師 / 臨床判断 / スキンケア |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、研究協力施設において造血幹細胞移植を受ける小児がん、血液・免疫疾患患者の皮膚計測データを得ようと試みた。しかし対象者となり得る事例が少なかった上、治療上・社会上の理由で研究への参加が得られず、今年度は皮膚計測データの収集を断念した。このため既に得られた2事例を検討し、現在英文誌への投稿に向けて準備中である。 また、平行して既存の皮膚障害の評価指標であるCTCAEについて検討を行った。米国の小児造血幹細胞移植看護専門看護師とともに、CTCAEの使用が適切であるかディスカッションを行った。米国の看護師間ではCTCAEはさほど用いられておらず、評価の正確性、使用上の問題点等も明らかになっていない状態であるため、まずは看護師による使用の妥当性を検討した方が良い、という結論に達した。併せて他の皮膚障害の評価指標の紹介を受け、Dermatology Life Quality Index(DLQI)、Skindex-29の2指標についても文献検討を行った。DLQI、Skindex-29は皮膚障害全般を評価する指標であるため、GVHDに特異的な症状が含まれておらず、CTCAEを用いて評価指標を作成する方が妥当であると決断するに至った。 さらに前年度に引き続き、Tannerのモデルを用いた看護師のGVHD皮膚障害に対する臨床判断についての質問紙の内容を検討した。当初質問紙の項目を作成するためにインタビュー調査を行ったが、3件のインタビューを行った。 質問紙は紙媒体での配布とwebでの配布両方を想定し、米国の研究者よりweb調査についての助言を求めたところ、想定している配布・回収方法、質問内容で問題ないという助言を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究協力施設における対象者が少なかった上、治療上・社会上の理由から、当初予定していた対象者を確保することができなかった。既に得られた2事例を検討したが、うち1事例は研究対象期間中に全身状態が悪化したため、データ収集が困難になった時期があり、検討に不十分であったので、参考データとすることにした。このため対象は1事例のみとなり、事例検討として英文誌に投稿を予定しており、現在投稿準備を進めている。 また、看護師を対象としたGVHD皮膚障害に対する臨床判断についての質問紙は、用いる既存の皮膚障害評価尺度について改めて妥当性を検討する必要性が生じたこと、さらにTannerの臨床判断モデルを用いた既存研究が少なく、モデルの解釈に複数の研究者による検討を要したこと、このため質問紙に用いる尺度の検討は慎重にならざるを得なかったことから、当初計画よりも遅れが生じた。 しかしながらモデルの解釈について理解を深めることができ、臨床判断モデルでは十分に明らかになっていない、看護師の背景要因と判断との関連を検討できる可能性があると考えられた。また、用いる尺度も妥当であるという結論に至り、分析方法について検討を行っている段階で、まもなく質問紙を完成することができると考えている。 以上より、当初予定よりも時期的には遅れが生じており、研究機関を延長せざるを得なかったものの、内容としては当初予定よりも多くの成果が得られる可能性があるため、「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
皮膚計測データは、事例報告または資料として英文誌へ投稿を行う。現在和文で内容を作成しており、今後可能な限り早期に英文へ修正後、校正・投稿を行う。 看護師のGVHD皮膚障害に対する臨床判断についての質問紙は間もなく完成予定であり、可能な限り早期に配布・回収・分析・論文作成を行う。調査によって得られた看護師の臨床判断の傾向、背景要因をもとに、CTCAEを用いた看護師によるGVHD皮膚障害の臨床判断の正確性と問題点を明らかにする。さらに調査をもとにスキンケアの選択基準を明らかにし、臨床で看護師が用いる皮膚障害の評価指標を作成する。また、調査によって明らかになった新人看護師と経験豊富な看護師の臨床判断の過程を比較し、GVHD皮膚障害評価の正確性を向上するための教育内容を明らかにする。
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Causes of Carryover |
当初計画よりも論文および調査内容について検討を要したことから、論文作成までに時間を要し、校正、投稿にかかる費用を次年度に持ち越すことになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
皮膚計測データが得られた1事例を事例報告もしくは資料として、英文誌へ投稿するための筆耕・翻訳料および投稿料へ充てる。また、質問紙調査にかかる印刷費・郵送費等に充当する。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] 小児がんの子どもの死を経験した看護師の思いとグリーフケアにおいて望むことに関する調査2014
Author(s)
高橋 百合子, 竹内 幸江, 吉川 久美子, 野中 淳子, 丸 光惠, 前田 留美, 富岡 晶子, 小川 純子, 櫻井 育穂, 勝本 祥子, 内田 雅代
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Journal Title
小児がん看護
Volume: 9(1)
Pages: 63-72
Peer Reviewed