2015 Fiscal Year Annual Research Report
NICUを退院した子どもをもつ親の親子関係形成過程における思考と感情の検討
Project/Area Number |
24659999
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
安藤 晴美 山梨大学, 総合研究部, 講師 (20377493)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | NICU / 低出生体重児 / 親子関係形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
NICUを退院した子どもをもつ親の妊娠中,出産,育児の経験から,親子関係を築いてきた過程を理解するとともに,その過程の時々でいかなる思考や感情を抱いてきているのかを考察し,子ども虐待の予防を目指した親子関係形成への支援の方法を明確化することを目的に取り組んだ。 A県の近隣県の総合周産期母子医療センターに入院経験のある,退院後のフォローアップ外来に通院中の子どもをもつ母親または父親,あるいは父母の両方に対する面接調査を行った。質問は,子どもの妊娠がわかってから面接時に至るまでの経験とその時の思いでについてである。面接内容は逐語録に起こし,内容の類似性や相違性に基づいて分類して考察した。 7名の母親および2組の両親との面接を行った。低出生体重児の母親は全員が早産であり,【戸惑い】の中での出産を体験し,子どもの生命への【不安】を抱いていたが,出産時に「おめでとうございます」と言われたことにより,子どもが生きて産まれたことを現実であると捉えている。その後,小さな身体でも動いている子どもを見て「生きている」と【安堵】したり,体重の増減に【一喜一憂】していた。母親は母乳を搾ることを自らの役割とし,母乳栄養を目指した乳房ケアを受けられることへの【感謝】をしていた。NICUの退院後は子どもと一緒に生活できることに【喜び】を感じ,子どもの成長を実感できることで子育てを楽しみ,「育てやすい子」として捉えていた。しかし,外に出た際の他人に言われる「小さくない?」「かわいそう」という言葉にキズつき,子どもへ早産をしたことの【申し訳なさ】をもち続けている。 本研究の協力者は,望んだ妊娠,待望の子どもであり,親である夫婦での支えや祖父母の理解がある方々であること,面接時点で子どもに明らかな障害がないことに限界はある。子ども虐待におよびやすい「育てにくい子」にならないための入院中からの支援が必要である。
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