2013 Fiscal Year Research-status Report
重症心身障害児(者)に対するリフレクソロジーの効果に関する研究
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24660010
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
中垣 紀子 静岡県立大学, 看護学部, 教授 (10300055)
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Keywords | リフレクソロジー / 重症心身障がい児(者) / 皮膚血流量 / 足関節可動域 |
Research Abstract |
1.研究成果の発表(第38回静岡県小児保健学会、平成25年10月19日) ①テーマ:リフレクソロジーおよび温罨法が重症心身障がい児にもたらす効果②研究目的:重症心身障がい児の下肢へのリフレクソロジーおよび温罨法の施行の効果をバイタルサイン、表情、皮膚血流量等を測定することにより明らかにする。③調査方法:重症心身障がい児(9名、4歳~14歳)の下肢へのリフレクソロジーおよび温罨法の施行の前後に、バイタルサイン、SpO2、皮膚血流量、平均血流スピード、皮膚温を測定し、四肢冷感、筋緊張、発汗、表情、顔色に関する7項目を5段階尺度で評価した。④結果および考察:リフレクソロジーおよび温罨法の施行により、副交感神経が優位の状態(心拍数の減少、収縮期圧・拡張期圧の低下、表情と筋緊張の改善)、抹消循環・血流の改善(手足の冷感の改善、顔色の改善、血流スピードの低下、皮膚温の上昇)がみられ、心身にリラックス効果をもたらしていると考えられる。 2.研究の実施 ①テーマ:重症心身障がい児(者)におけるリフレクソロジーの効果②研究目的:重症心身障がい児(者)にリフレクソロジーを施行することにより、身体面・精神面にもたらす効果について明らかにする。③研究方法:A重症心身障がい児(者)施設において、継続的にリフレクソロジーを受けている重症児(者)とその保護者とした。重症児(者)については、リフレクソロジー施行前後に心拍数、SpO2、皮膚血流量、皮膚温、足関節可動域の測定をし、顔色・表情・筋緊張等の変化を観察した。保護者には、リフレクソロジーに関するアンケート調査をし、加えて1ヶ月間自宅でリフレクソロジーを行うことを依頼した。④研究期間:平成25年8月~12月⑤結果および考察:リフレクソロジーを施行することによって、身体面や精神面に効果があり、安楽をもたらす援助であることが明らかになった。保護者の期待も大きい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.研究の進捗状況 平成24年度は、まず、重症心身障害児に実施する前に、健康な女子学生27名に実施し、その効果について検討をした。その後、重症心身障害児(者)施設(静岡市内)において、重症心身障害児にリフレクソロジーを実施し、リフレクソロジ-がどのような効果があるかを明らかにした。学生も重症心身障害児もリフレクソロジーは1回だけ実施してその効果を皮膚血流量、血流速度、皮膚温、主観的反応(学生)、表情(重症心身障害児)等で評価をした。 平成25年度は、本来、リフレクソロジーは、継続することによって、その効果があることから、重症心身障害児(者)施設(富士市)において、リフレクソロジ-を経験している児(者)に対して、リフレクソロジーを3回実施して、その効果を皮膚血流量、血流速度、皮膚温、足関節可動域、表情(重症心身障害児)等で評価をした。また、この児(者)の母親に1か月間、家庭でもリフレクソロジーの依頼をした。継続することの効果を明らかにする必要性があると考えた。母親は、リフレクソロジ-の効果をどのように感じ、考えているか、質問紙を用いて調査をした。研究結果からは、①重症心身障害児(者)の身体面や精神面に効果をもたらす。②多くの保護者が末梢冷感や排泄の改善、足関節の緩和などの効果を感じ、自宅でリフレクソロジーを実施することに意欲的であった。③重症心身障害児(者)の安楽を促す援助の1つとして、看護職は他職種や家族と協働しながらリフレクソロジーを実施すると良いことが明らかになった。本研究は、ほぼ順調に進められている。 2.本研究を継続することの意義 リフレクソロジーを継続すろことによって、どのような効果があるか明らかにすることが、看護援助に繋がっていくものと考えている。この研究を実施することによって、重症心身障害児(者)のみならず、多くの病める患者への看護援助に示唆が得られると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
1.研究成果の論文化 平成24年度、平成25年度に実施した研究内容、成果を論文化し、学術誌などで発表する。①第38回静岡県小児保健学会(平成25年10月)で発表したリフレクソロジーおよび温罨法が重症心身障がい児にもたらす効果について、②平成25年度に実施した重症心身障がい児(者)におけるリフレクソロジーの効果について(質的研究)を論文としてまとめ、学術誌に発表したいと考えている。 2.海外での調査 今回の研究では、リフレクソロジーを重症心身障がい児(者)に実施し、この効果について研究したが、本来、このリフレクソロジーは、多くの病み苦しんでいる患者に施すことで、患者の心身をリラックスさせ、安楽な状態になるであろうことが多いに予測される。高騰する医療費の削減にも確実に貢献すると考えられる。オーストリアのインスブルック市にある「RWO-SHRヘルスセンターヨーロッパ」を見学したいと考える。このセンターにおけるリフレクソロジーを導入したケアの実施状況を見学する。このセンターでは、ストレス管理、環境衛生、自分の健康を取り戻す、病気を予防するためのツールの開発などを実施し、健康を総合的、包括的に捉えられている。リフレクソロジーは、確かに人に安寧、リラックス効果をもたらし、優れた癒しの力があることから、将来的には、リフレクソロジーなどの代替医療が日本の医療機関に導入され、評価されると考えられる。オーストリアのRWO-SHRヘルスセンターヨーロッパは、20年の歴史、実績があることから、この施設では、どのようにされているか実態を把握したいと考える。日本では、具体的にどのように導入できるのか、その方向性について検討したいと考える。また、この施設の保険医療システムが、日本に応用できるのかも検証したいと考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.打ち合わせ会議:研究協力者と研究について、打ち合わせをする。 2.海外での調査:リフレクソロジーを実際に実施し、その成果をあげ、予防医学に貢献していると思われる施設を見学する。日本でリフレクソロジーをどのように医療に生かすか、示唆を得たいと考える。 1.打ち合わせ会議:研究協力者と研究について、打ち合わせをする。その旅費として支出 する。研究協力者であるリフレクソロジストの西野氏が名古屋市在住であるため、打ち 合わせは名古屋で実施する(3回)。静岡⇔名古屋間の旅費として、39,000円(13,000円×3)2.海外での調査:オーストリアへ調査のための旅費として2名分1,800,000円(900,000×2)を支出する。3.文房具等:58322円
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