2013 Fiscal Year Research-status Report
小児がん経験者のナラティブからみた医療PTSD予防に向けた介入プログラムの検討
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24660014
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Research Institution | Gunma Prefectural College of Health Sciences |
Principal Investigator |
益子 直紀 群馬県立県民健康科学大学, 看護学部, 講師 (50512498)
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Keywords | 小児がん経験者 / ナラティブ / 医療PTSD / SOC |
Research Abstract |
本研究の目的は、小児がん経験者の語りからわかる体験した出来事のとらえ方と、sense of coherence(以下SOC)の関係を明らかにし、小児がん体験による医療PTSDに対する予防的介入プログラムを検討することである。平成25年度は研究計画を具体的に修正し、第1段階~第2段階として次の3点を実施した。 1.本研究の対象は成人期となった小児がん経験者であり、調査協力者を得ることは重要課題のひとつであった。そのため、リクルート協力者へのアプローチを多方面から行い、11名の調査協力者を得た。 2.質的調査については5名のインタビューを完了し、SOCおよびPTGの調査については10名が完了した。残りの調査と並行して、SOC得点やPTG得点の高・低群におけるや特徴的な語りや語りの傾向を分析し、小児がん経験者がSOCを駆使している状況について検討をすすめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究において、小児がん経験を既に過去の体験として生きている者にとっては、調査協力(特にインタビューについて)苦痛を伴う懸念もあり、調査協力者の確保が重要課題であったが、分析に必要な対象者数が得られた。おおむね順調に調査・分析は進行しており、SOC高群では、特徴的な語りや語りの傾向が見え始めている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、25年度の残りの調査とデータ分析を継続する。また、SOC高群や低群における特徴的な語りや語りの傾向を明らかにし、SOCの構成要素である把握可能感、処理可能感、有意味感が小児がん経験者の成長過程でどのように生起しているのかを検討する。そして、SOCおよびPTGの特性と、質的調査結果から得られた要素の関係を体系化する。この際には、質的研究に精通したがん看護学の学識経験者や健康生成理論に関する専門家のスーパーバイズを得て、分析の妥当性を検討する。 さらに平成26年度は、これまでの研究過程で明らかになった研究成果について、公表をすすめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
調査協力者が得られた時期が平成25年1月以降であったため、平成25年度事業のデータ収集は3月末まで行っており、平成25年度中に支出が完了しなかったものもあった。このような事情から、平成25年度助成金のうちデータ収集旅費および会場借用料、分析に使用するための備品購入費を平成26年度に流用することになった。 また、調査協力者が得られた時期が1月以降であったことで、平成25年度中に終了しなかったインタビューがあり、調査協力に同意が得られている11名中6名の質的データ収集が、平成26年度にずれ込んだ。そのため、6名の調査旅費およびリクルート協力者との打ち合わせ旅費、会場借用料、データ入力を行う研究補助者への報酬については、平成26年度に流用することとした。 平成25年度助成金の残額72万円程度を平成26年度へ繰り越す。 この繰り越し助成金のうち30万円程度は、平成25年度中に収支が完了しなかった調査旅費および会場借用料と分析に必要な備品購入費に流用する。 また、残り25万円程度を、残り6名のデータ収集についての調査旅費およびリクルート協力者との打ち合わせ旅費、面接調査会場借用料として使用する。さらに、専門的知識の提供、データ入力を行う研究補助者への報酬として、謝金および人件費を17万円程度計画する。
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