2012 Fiscal Year Research-status Report
医療処置を受ける幼児の対処能力を高める感性的言語の研究
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24660030
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Yokohama Soei Junior College |
Principal Investigator |
石舘 美弥子 横浜創英短期大学, その他部局等, 講師 (50534070)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 感性的言語 / オノマトペ / 幼児 / 医療処置場面 / コミュニケーション |
Research Abstract |
本研究の目的は,医療処置を受ける幼児への支援として,幼児が理解し受け入れられることばを調査し,個々に応じた望ましい説明モデルの開発を目指すことである。 本年度は次の3点について計画を実施した。 1)国内外の先行研究を検討し,これまでの研究成果をまとめた。 2)研究倫理審査委員会において研究実施への承認を受け,研究協力者として,小児病棟看護師の協力を得た。 3)総合病院小児病棟で5年以上の臨床経験をもつ看護師10名を対象とし,インタビュー調査を実施した。医療処置を受ける幼児のイラストをタブレット端末に設定し視覚刺激とした。看護師には端末に映し出されたイラストの幼児に向かい医療処置を説明するよう教示した。面接内容はICレコーダーに録音し逐語録に起こした。得られた看護師の対幼児発話データを分析した。分析にはテキストマイニングソフトを用いて形態素・構文解析を行った。その結果,看護師は難解な医療用語を幼児用に変化させている,オノマトペ(擬音語・擬態語)に代表される,感性的言語を多用していることがわかった。看護師が使用するオノマトペには[動き(動作)]と[音(聴覚)]を利用した働きかけが多くみられた。オノマトペを用いることによって,単語の示す行動の視覚的イメージが触発されことが予想された。オノマトペは「量と質」をあわせて指示できることから,過剰な情報量を防ぎ,幼児とのコミュニケーションに活用できる可能性が示唆された。さらに,個々の医療処置場面での対幼児発話に含まれる特徴語を分析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度にあたる24年度は,医療処置場面において,看護師が幼児に使用している感性的言語の実際を把握するため,10名の看護師に面接調査を実施することができた。分析は,テキストマイニングソフトを用いて形態素・構文解析を進めている。得られた結果を受けて,次年度取り組む方向性が明確になった。 初年度の計画に沿って進行できたことから,概ね順調に経過したと評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度は,抽出された感性的言語を基に質問紙を作成し,研究倫理委員会における研究実施の承認を得ることが必要である。その後,郵送法による質問紙調査を実施する。倫理的配慮として,質問紙の返信をもって同意を得たとし,研究への依頼文には,任意参加であること,同意が得られなかった場合も対象者が不利益な対応を受けることはないことを明記する。対象者は,小児専門病院,総合病院の小児病棟に勤務する看護師など100名程度を考えている。集計結果から,医療処置場面毎の特徴語を抽出し整理する。 今後,より詳細に幼児の支援に必要な感性的言語の評価を進めていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の次年度計画に沿って進行してく予定である。 分析ソフトであるテキストマイニングの追加購入,質問紙の配布・回収,研究成果発表のための旅費を計画している。
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