2012 Fiscal Year Research-status Report
GPS機能付きカメラを利用したタイ地域保健データの時空間データベース化の検討
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24660035
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
太田 勝正 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60194156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 正一郎 京都大学, 地域研究統合情報センター, 教授 (50218616)
松田 正己 東京家政学院大学, 公私立大学の部局等, 教授 (90295551)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 地理情報システム(GIS) / データストレージ / 看護学 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
平成24年8月に,タイ・コンケン県およびその周辺5か所のプライマリーケアユニット(PCU)の地域看護師(CHN)8名およびヘルスボランティア(HV)27名を対象に,チェックリストを用いたフォーカスグループインタビュー(FGI)を行った。8カテゴリー54項目の住民個人情報を提示して,C HNには収集の有無,方法,記録の有無および記録媒体について,HVには収集,記録作成および報告の有無について尋ねた。その結果,両者ともに所持品や経済に関する情報項目は各家庭の秘密事項として取り扱っており,実際に把握していてもそれを記録に残していないなどの状況が明らかになった。それ以外の項目は,多少のばらつきはあるが,ほとんどが収集,報告,および記録されていた。ただし,記録は基本的に紙媒体であり,役所のデータベースには一部の情報しか入力されず,情報の拡散,データ活用の不十分さが示唆された。 上記調査結果をもとに,収集すべきデータ項目を精選し,データベースソフトとしてファイルメーカProを用い,入力端末としてiPadを用いたデータエントリシステムのプロトタイプを構築した。平成25年3月に,前回と同じ地域の4か所のPCUで,合計9名のCHNおよび22名のHVを対象に,データエントリシステムの簡単な使用方法を説明した後に,実際に入力操作を試してもらい,チェックリストを用いて操作性,有用性,ならびに,入力項目の必要性などに関する印象・評価を尋ねた。有用性および操作性に関しては,30点満点で平均値がCHNは28.3点,HVは26.5点と,両者ともに高得点を示した。また,地図上に表示したい情報を尋ねた結果,CHNは対象家族の場所や次回訪問予定日,および対象者の写真を,HVは次回訪問の予定先と答えていた。操作性については,実際の操作の様子を観察した結果などからまだ改良の余地が示され,今後改良を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GPS機能付きのデジタルカメラによる画像から時空間情報(緯度経度・時間)を取得する予定であったが,カメラ付きタブレット端末の急速な普及により,データエントリー用のタブレット端末を用いて時空間情報を直接取得することができるようになった。このため,デジカメ写真からの時空間情報の切り出しとデータ形式の変換のための手間が不要となり,データベースをシンプルに構築出来るようになった。 タイの調査対象地区における保健師,ヘルスボランティアによって収集される情報項目についての調査は,予定通りに8月に実施し,その結果をもとにデータエントリーのための画面のプロトタイプを構築した。さらに,それを用いて,平成25年3月にタイの保健師,ヘルスボランティアによる操作性などに関する予備的調査を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
H24年度の結果をもとに,データエントリーのための画面プロトタイプの改良を行い,H25年8月もしくはH26年2月か3月に,その改良版を用いた実用性,有用性に関するフィールド調査を行う。本研究成果は学会等で報告するとともに,タイにおける研究協力者にも還元していきたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H24年度は,比較的小規模な2回のフィールド調査であったが,H25年度は対象者数を増やし,かつ,評価項目を増やしたフィールド調査を行う必要がある。そのための3-4名の調査員(研究代表者,分担者,協力者)の調査旅費,ならびにデータエントリー画面改良版を実装したタブレット端末を複数台購入するための予算が必要となる。また,平成25年5月にメルボルンで開催される国際看護学会ICNに参加し,他の途上国の地域保健活動に関する情報の収集,意見交換して,今回の成果をタイに留まらず周辺諸国でも活用できるようにするための手掛かりを探りたいと考えている。そのための学会参加費,旅費を予定している。
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Research Products
(10 results)