2012 Fiscal Year Research-status Report
重度アルツハイマー型認知症高齢者へのケア提供を遂行するための看護師の行為
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24660044
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
浅井 さおり 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (20326317)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 認知症高齢者 / ケア提供行為 / 看護師 / 質的記述 |
Research Abstract |
本研究は、看護師がケア提供遂行のために、重度アルツハイマー型認知症(以下DATとする)高齢者へどのように行為しているのかを記述することを目的とし、認知症専門病棟に勤務する看護師と重度DAT高齢者とのケア提供場面の参加観察と観察後に看護師へのインタビューを行い、質的記述で分析を行う計画である。本研究では、特に、ケア提供が中断したりケア提供が円滑に進まなかった場面のデータ収集を計画した。ケア提供が突然中断する場面はデータ収集訪問日に起こるとは限らないことから、データ収集が困難なことが予想されるため、平成26年度まで長期的なデータ収集を行う予定である。 平成24年度は、研究実施前の準備として9月から平成25年1月まで月に2-3回フィールドに入って研究者、フィールドスタッフと高齢者が研究者の存在になれること、また研究者もフィールドになれることを目的としてデータ収集準備のための訪問を行い、2月から3月、協力を得られた3名の看護師と、3名のDAT高齢者のケア提供場面のデータ収集を実施した。 データ収集は、計画時の予想通り意図する場面に遭遇することが困難であり、ケア提供が中断した場面に加えて、ケア提供がいつもより進めるのが困難であった場面も含めて収集し、14回のフィールド訪問で2データを得た。データ収集数は少ないものの、得られたデータからは、研究者のこれまでの研究で分析したケア提供が円滑に進んだ場面のデータと比べ、看護師の意図的な判断やかかわりが明瞭に語られていた。データ収集の困難さはあるが、研究目的を達成するために必要なデータであると判断し、計画通り、次年度も引き続きデータ収集する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究協力を得る予定であった研究者の協力が得られなくなり、研究代表者1名でデータ収集を実施した。フィールド訪問予定数を増やし、研究目的から逸脱しない範囲でデータとして採用する場面の範囲を拡大したが、データ収集開始時にフィールドとした病棟の入院患者に、ケア提供が中断するような状況が頻回にみられる対象者がいなかったこともあり、意図する場面に出会う機会が少なかったことで、データ収集数が2にとどまった。
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Strategy for Future Research Activity |
データ収集の効率を上げる方策が必要だが、日常のケア提供場面をデータにしていること、また、データの質を確保することも必要であり、平成24年度データ収集時と同様のデータ収集基準で8月から10月にデータ収集を行う予定でいる。 今年度より研究協力者を新規に得ても、研究者の大学業務等仕事量から、参加観察スキルを一致させるトレーニングを組むことができないため、今年度も研究者1名でデータ収集を実施する。 また、新たな協力施設を開拓し、平成26年2月から3月にデータ収集を行う。平成25年8月から10月のデータ収集の状況を見て、データ収集の方針等を見直す。今年度のデータ収集目標数は10とする。夏期までに収集できたデータで、次年度成果発表の準備を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度の未使用額には、研究協力者が1名確保できなかったことによる旅費、また、学内業務に要する時間的割合が計画時点よりも大きく海外学会参加ができなかったことによる旅費、また、データ収集数が少なかったことによる諸経費が含まれる。 今年度の使用計画として、学内業務にかかわる時間的割合が昨年度よりも高い状態ではあるが、国内学会参加および海外学会参加を予定する。また、データ収集、分析にかかわる諸経費、研究環境を整えるための備品、図書購入を予定する。詳細は以下の通り。 【旅費】520千円(内訳:国内学会参加旅費165千円(日本老年看護学会、日本認知症ケア学会、日本健康科学学会、日本質的心理学会、日本看護科学学会)、データ収集旅費 55千円、海外学会旅費300千円)【人件費、謝金】225千円 (内訳:逐語録作成100千円、資料整理人件費90千円、謝金35千円)【設備備品費】398千円 (内訳:調査用データ入力機器;AH79/JA 190千円、プリンターC610dn2 123千円、文具・消耗品20千円、図書65千円)【その他】176千円(内訳:学会参加費99千円、会議費5千円、英文校正・ポスター作成62千円)合計1319千円
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