2015 Fiscal Year Annual Research Report
重度アルツハイマー型認知症高齢者へのケア提供を遂行するための看護師の行為
Project/Area Number |
24660044
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
浅井 さおり 獨協医科大学, 看護学部, 准教授 (20326317)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アルツハイマー型認知症 / 高齢者 / 看護師 / ケア提供行為 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】重度アルツハイマー型認知症(以下DATとする)高齢者へのケア提供が円滑にいかない場面での看護師のケア提供行為を記述することを目的とした。【方法】3施設の認知症専門病棟または療養棟で協力の得られた看護師7名及び重度DAT高齢者6名のケア場面の参加観察を実施し、看護師がいつもよりもケア提供が円滑にいかなかったと捉えた場面をデータとし、その場面でのケア提供について看護師へインタビューを実施した。【結果・考察】今年度は4場面を追加し、最終的に9場面のデータで分析した。分析には内容分析を用いた。看護師の平均年齢は40.0歳、認知症勤務年数は3.7年、DAT高齢者は男性2名女性4名で平均年齢は70.0歳であった。9場面は1分20秒から22分55秒で、生活援助が5場面、検温2場面であった。7場面で意図するケア提供が途中で中止されていた。126分析単位から、看護師がケア提供行為を構成する時の捉えとして「表明されない意志を捉える」「相手の状況を推測する」「かかわりに対する受け入れを捉える」「情緒的状態を捉える」「かかわりの理解度を捉える」「よくある、いつもの様子と捉える」「姿勢や動きをみる」「ケアの意図から判断する」「経験や知識から判断する」の9カテゴリーがみいだされた。看護師は言葉での意思確認の困難なDAT高齢者へ動作に表れた意思を汲み取り、看護師の思いと高齢者の意思が異なると確認できた場合、また、看護師へ手をあげる、看護師から離れる等の動きで強く嫌がっていると捉えた場合に意図するケア提供を中止していた。看護師は、中止の判断につながる決定的な言動がみられない限り、一時中断や方法の変更などの工夫をしながらケア提供継続に向けて行為を構成していた。本研究結果は、ケア提供が困難なDAT高齢者へのケアを遂行する場合の看護師の臨床判断を考える際の有用な基礎資料となると考えられた。
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