2013 Fiscal Year Research-status Report
特殊災害時における一般市民の被災体験と精神的影響の関連
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24660056
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
香月 毅史 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (30418892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩田 久美子 淑徳大学, 看護栄養学部, 助教 (50624045)
三井 督子 淑徳大学, 看護栄養学部, 助手 (30624043)
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Keywords | 東日本大震災 / PTSD / 精神的健康障害 / 一般市民 |
Research Abstract |
課題研究「東日本大震災以後に一般市民が抱える精神的影響」のプレテストとして行った被災30週間後の一般健常者の精神的健康調査の結果を基に「東日本大震災後に一般市民が抱える精神的影響としての不眠」を論文化した。(香月,2013:不眠研究2013. P15-22)調査対象者は関東地方のA市近郊に在住する一般健常者106名、分析の結果、精神的健康障害ハイリスクとされる対象者は全体の26.4%(28/106)、精神的健康障害では、不眠に関連する睡眠障害が最も高い発現率50.9%(54/106)を示した。 さらに疫学研究の視点で、A市の結果から特殊災害時の全国調査に向けて明らかとなった精神的影響についてまとめ、第14回国際精神科疫学学会The14th International Congress of the IFPE(ライプチヒ,2013)においてポスター発表を行った。(香月,2013:IFPE) また、2012年10月~11月にかけて実施した第1次本調査「東日本大震災後の一般市民の精神的健康に影響を与える要因-震災18箇月後の全国調査-」では全国の16地域の一般市民(n=938)を対象に、IES-RとGHQ30を使用し、PTSD(心的外傷後ストレス障害)症状と身体症状、睡眠障害、希死念慮・うつ傾向などの精神的健康障害の発現率を調査した。その結果、特殊災害後には被災体験を持たない一般市民の中にもPTSD罹患リスクや精神的健康障害の発現率が高まることが推察された。現在投稿準備を進めている。 また、2014年3月には、全国107か所のデータを基に災害後3年を経た時点における一般市民の精神的影響について調査を行いデータ収集と分析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、2年目の秋ごろには第1次全国調査の結果を基に調査結果を論文として投稿する予定であった。現在第一次調査の結果を基にデータ分析を終え結果並びに考察を論文化しているが、投稿には至っていない。第2次調査は2014年4月にほぼ終了している。今後データ分析を行い、新たな考察につなげる。推察される内容が結果として示される可能性が高い。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、プレテスト、第1次調査、第2次調査の結果を統合し、東日本大震災後3年間の一般市民の精神的影響について新たに明らかになることを示す。また、慎重にデータ分析を行い考察を行うと共に、精神的影響が強く示された場所の地域調査を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2013年度に予定していた学会参加が2014年度に延期された。また、データ分析、研究成果の発表と雑誌投稿の予定も2014年、2015年に延期された。 データの整理、記録に人件費を使用する。 2014年10月にカナダ、バンクーバーにおける環太平洋精神医学会議PRCPに投稿中である。発表参加が受理された場合には旅費として使用する。さらに雑誌投稿を複数回予定している。 また、これまでの結果から精神的影響が大きいと思われる地域に赴き地域調査を行うことも予定している。
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Research Products
(3 results)